モデル地区設定し集約化 マッチング活動に注力 大分県農業会議

設定した農地集積・集約化モデル地区の所在地図                    
作成した「農業委員会活動事例集」

 「農地利用の最適化」を進めるため、大分県農業会議(疋田忠公会長)では、2018年度から「モデル地区設定による農地の集約化推進運動」を展開し、集積・集約化に向けたマッチング活動に力を注いでいる。この取り組みは「農地の集積・集約化モデル地区」を県内の全農業委員会で設定、農業委員と農地利用最適化推進委員が中心となり、地区内の出し手と受け手、関係機関と調整を行い、農地の集約化を目指すもの。取り組み2年目を迎える本年度は新たな地区設定も行われ、各市町で他地区への波及が見られるなど成果が広がり始めている。


 県内の17市町で、農地を集約できる可能性のある地区、もしくは農業委員会が中心となって集約化に挑戦することができる地区をそれぞれ選定した。集約する面積、品目は問わないこととし、2018年度は20地区でスタートした。
 農業会議職員も農業委員会を巡回し、現地確認やモデル地区を担当する委員らと協議・支援を行う他、県や県農地中間管理機構と情報共有、方向性の検討などを行っている。
 モデル地区での集約化の取り組みは、短期間で実績に結びつけるのは難しいと想定されたが、初年度で約100ヘクタールの集積につながり、多くの地区で農地中間管理事業が活用された。
 本年度は各農業委員会で新たなモデル地区も設定したことから、昨年度からの継続地区も一部含めた28地区で取り組みを進めている。この運動は継続して展開することにしており、5年後10年後を見据え、「点から線へ、線から面へ」と農地の集積・集約化を進めていく方針だ。
 この取り組みをより効果的に進めるため、農業会議では昨年11月から農業委員会に呼びかけ、委員1人毎月5戸を目標に戸別訪問する運動を展開している。農地の出し手情報はもちろんのこと、担い手などの受け手の情報も戸別訪問により把握し、マッチングにつなげていくのが狙いだ。
 昨年11月から今年3月までの5カ月間で、延べ5千人を超える農業者などへ訪問が行われている。戸別訪問により収集した情報は、モデル地区でのマッチングの基礎資料とするだけでなく、委員間の話し合いや地域での話し合いの場などで活用している。
 県内各農業委員会の協力を得て、農地利用の最適化に意欲的に取り組む委員の活動を「農業委員会活動事例集」にとりまとめ、全委員をはじめ各関係機関へ配布している。
 各地域で農地利用最適化に取り組む委員の活動を紹介することで全委員で情報を共有するとともに、関係機関との連携強化を図っていくことが目的だ。活動の幅を一層広げ、農業委員会活動の「見える化」にもつなげていく考えだ。
 これから本格的に「『人・農地プラン』の実質化」を進めていくこととなるが、今後、農業会議では、これまで展開してきた運動の成果を活かしながら、また農業委員会と密接に連携しながら、支援活動を強化していくこととしている。