ワークショップで若手農家の声集約 意見書で施策化めざす 京都・南丹市農業委員会

地域農業の課題と改善案を付箋に書いて検討
グループごとに発表して質疑応答を行った

 南丹市農業委員会(大沢泰一会長)は、農政部会が中心となって「農業者との意見交換会」を毎年実施し、農村現場の声を集約して、市長に対する「意見書」を提出している。農業委員会の意見書は、各年度の農業施策の検討に際して考慮され、農業者の声が南丹市独自の農家支援に反映している。今年は、“若手農業者との意見交換”に重点を置き、交流会を既に3回実施。今秋提出する「意見書」に“若者の声”を反映させるため、先月27日には初めてワークショップ形式で交流会を行った。


 ワークショップは、市内の若手農業者11人が3班に分かれて、市農業推進課の若手職員を交えて行われた。最初に、参加者が各自の農業を取り巻く課題を付箋に書いて模造紙に貼り、近い関係の課題を“見える化”した後、改善策を検討して取りまとめた。農業委員会の大沢会長、上田純二農政部会長、吉田陽子農政副部会長が各班の作業に参画し、発表にも加わった。
 若手農業者からは、農業用機械の共同利用の支援、農産物ブランド化の推進、有害鳥獣の通年捕獲と処理施設の設置など、課題の解決に向けた具体的な意見が出された。これを受けて、農業委員会では来年度の施策改善提案の内容を検討し、市長に提出する「意見書」に反映させる予定だ。


 ワークショップ終了後、大沢会長から参加者に“自主的な交流の場”の継続的な開催を提案。参加者同士で「若手が気軽に情報交換できる場が必要」「市長に直接意見を言える場にしたい」など、約1時間の話し合いが行われた。
 大半の参加者が前向きな意向を示したため、農業委員会が呼びかけて「若手農業者の交流会」を今月23日に再度開くことを決定。農業委員会として若手農業者の活動を積極的に支援している。


 南丹市では、市独自の農業振興施策を展開し、市内の認定農業者や集落営農組織、新規就農者の支援を行っている。その概要は、次の通り。
「がんばる農業応援事業」
 認定農業者や集落営農組織の機械導入(国・府の補助対象外)に対し、事業費の4割以内(認定新規就農者は5割以内)を補助する(上限150万円)。
「パイプハウス整備事業」
 販売用野菜の生産者のパイプハウス整備に対し、事業費の5割以内(認定新規就農者は8割以内)を補助する。 
「京力農場プラン作成事業」
 集落ぐるみで主体的に話し合い、「京力農場プラン」(人・農地プラン)を作成した集落に対し、定額で5万円を助成する。
「耕作放棄地解消事業」
 耕作放棄地を再生利用する農業者に対し定額で1アール当たり5千円を助成する。