特定生産緑地制度周知活動に力注ぐ 東京・武蔵野市農業委員会

説明会はこれまでに6回開いている

 東京都内の8割以上の生産緑地が指定から30年を経過するいわゆる2022年問題などへの対応として、2018年に特定生産緑地制度が創設された。武蔵野市農業委員会(榎本一宏会長)では、市やJAと連携して特定生産緑地制度の周知活動を展開するなど、都市農地を保全する取り組みを進めている。

 1992年に生産緑地法が改正され、特定市街化区域の農地は生産緑地に指定するかしないかの選択に迫られた。
 その指定告示から30年目となる2022年には、現在指定を受けている都内の生産緑地の80%以上が行為制限を解除できることとなる。この状況を受け、生産緑地を持つ区市は都市農地の保全に向けた対応に追われている。
 そのような中、吉祥寺といった商業圏を抱え、都市化が著しい武蔵野市農業委員会では、市内の2.6%しかない農地を保全するために、「特定生産緑地制度を知らない生産緑地所有者を一人もつくらない」をスローガンに指定の増加に向けた取り組みを続けている。
 その一つが生産緑地所有者を対象とした説明会の開催だ。市内の6生産組合に向けて6回開催した。各生産組合が参加しやすいよう、地域のコミュニティーセンターや神社の集会所などで実施した。JA東京むさし武蔵野地区とも密に連携。同組合が事前に生産緑地所有者の出欠確認を行い、全員がいずれかの説明会に出席してもらうという調整を行った。これらの連携が功を奏し、全ての生産緑地所有者が説明会に出席した。
 説明会では、農業委員会が特定生産緑地に指定しなかった場合に、固定資産税や相続税がどのように変化するのか具体例を示し、特定生産緑地に指定することのメリットを伝えた。また、市の都市整備担当職員も出席し、特定生産緑地への指定申請書の記載方法についても説明を行った。


 特定生産緑地への申請は今年の1月から受け付けており、申請状況は申請者数ベースで62%、筆数ベースで54%、面積ベースで55%(6月末日現在)となっている。
 武蔵野市農業委員会の榎本会長は「市独自のアンケートでは、生産緑地所有者の90%以上が生産緑地の全部または一部を特定生産緑地に指定したいと回答している。なるべく多くの農業者が特定生産緑地を選択し、農地の保全ができるように、今後も各関係機関と連携して周知活動を進めたい」と意気込みを語った。