遊休農地解消し地域活性化 奈良・大和高田市農業委員会

地域での話し合い活動

 奈良県の中西部に位置する大和高田市では、水稲栽培を中心に都市近郊の立地条件を生かした軟弱野菜の栽培が盛んだ。平坦部が大部分を占めていることもあり遊休農地は少ない状況にあるが、農家戸数の減少や高齢化が進むことにより遊休農地が一度に増加する事態を同市では危惧している。

 大和高田市農業委員会(今村平治郎会長)では、地域の農地を守る活動の一環として遊休農地の解消に力を入れている。長い間遊休化して活用されていない農地をモデル圃場として再生。担い手に集積したり市民農園として活用を図っている。看板を立てて地域に向け周知も行っている。
 この取り組みの契機は、地域外の所有者の農地が遊休化するケースが多く、周辺の営農環境が悪化したため。地域の農地を守っていくために何とかしたいという思いから実施している。
 取り組みを実施する農地は、農業委員会で所有者に意向を確認、貸し付けを条件として再生する。荒廃がひどい場合は農業委員が重機を運転して整備することもある。
 農業委員の1人が地域の小学校教員だったことから、一昨年から地域の小学生を対象に食育活動を行っている。農業委員と農地利用最適化推進委員が指導しながら、植え付けから収穫まで体験を行う。今年は約10アールで大豆を栽培している。
 体験を行う小学生には、農業委員会の活動や遊休農地について説明するなど農地の有効利用、保全・管理の大切さを伝えている。
 収穫した大豆は小学生に配布したり、市の品評会の際に遊休農地解消PRの一環として来場者に配布する予定だ。

 地域の農地を守っていくため、全農家を対象に将来の農地の活用意向に関するアンケートを実施した。その結果を活用しながら、推進委員を中心に人・農地プランの見直しや作成に向けた話し合い活動に取り組んでいる。
 水路の掃除などの地域の農業者が集まる機会を利用し、農地の受け手となる担い手の掘り起こしや農地中間管理事業など各種制度の説明を行っている。
 今村会長は「農家の高齢化が進む一方、若い担い手がいないのが現状。農地中間管理機構などとも連携を図りながら、担い手を掘り起こしていきたい」と思いを話した。