農地を活かし担い手を応援する 担い手へ農地をマッチング 群馬・明和町農業委員会

 群馬県東部に位置する邑楽郡明和町。関東平野の北部にあり、米麦生産を中心に、ナシ、キュウリ、ニガウリなどの生産が盛んな地域だ。しかし、近年の担い手の高齢化などの理由から地域農業・社会の維持が厳しくなりつつある。同町は、多面的機能支払交付金を活用して地域でのさまざまな活動をする一方、集約・活用する農地と担い手へのマッチングを進めている。その活動では地域代表の農業委員が強力にサポートしている。

 同町矢島地区の石秀文(ひでゆき)農業委員(71)は、多面的機能支払交付金を活用する矢島地区資源保全管理協議会の監査役を務める。同協議会は2014年4月に設立され、農業者、自治会、利根加用水土地改良区のメンバーなど31人が構成員だ。作業内容や役員、予算配分や農地の利用などを組織設立までの話し合いや、設立後の運営にあたって石さんは地域の世話役として活躍している。
 石さんは「座談会を開き地域全体で活動すると、活性化して意思疎通がしやすくなる」と話す。座談会が、農地の貸し手や借り手を交えた話し合いによる農地集積、農業用水路や道路などの施設維持が集落機能で大切な役割を担っているとの住人の共通認識醸成、さらに人・農地プランの具現化につながっている。
 同地区では、集落営農法人の佐貫北部農事組合法人や大規模経営者が農地の受け手だ。「農業委員として地域の地主に声をかけ、農地の流動化や遊休農地発生防止に取り組んできた。今では地域内に遊休農地は15アールになっている。今後は農地中間管理事業を活用して担い手への農地集積を働きかけたい」と話す。
 同地区では2015年度、地域活動のなかで農地の集積やそれを利用する担い手について検討し、農地中間管理事業を通した農地集積の計画作成や区画拡大を進めてきた。
 具体的には、農地耕作条件改善事業を活用し、水田3ヘクタールの畦畔を除去し区画を拡大した。県農地中間管理機構(公益財団法人群馬県農業公社)が、昨年10月から今年3月までの間に行った。改良された農地は、農地中間管理事業で貸借を行い13人の耕作者から11人へ集約された。
 須永賢一農業委員会会長(67)は「矢島地区でさらに農地集積を進めるため、畦抜きの作業だけでなく農道の拡幅に取りかかる。農地の条件が悪いとなかなか借り手が見つからないが、借り手が出てきたらいつでも貸せるように遊休農地の発生を防ぎ、誰かに農地をつなぐ仕事は農業委員の大きな役割」と農業委員会活動の重要性を強調する。
 また、同町産業振興課は「町にある16集落のうち12集落で多面的機能支払交付金の活動を行ってきた。今年度は組織統合をしながら広域活動組織として活動を始める。今後は、矢島地区のように人と農地の将来を話し合える組織にしたい」と抱負を語る。

写真説明=須永会長(左)と石委員