農家の声を意見書に集約 単独事業創設など寄与 香川・高松市農業委員会

 高松市農業委員会(三笠輝彦会長)は、2017年7月に新体制に移行し、農業委員24人、農地利用最適化推進委員55人の体制で活動している。同委員会では、農業と農業者の発展に向け、改善意見書の提出や経営管理講習会などを実施している。

大西秀人市長(左)へ意見書を手渡す三笠会長

 高松市農業委員会では、農業委員会法に基づく、農地利用最適化推進施策などに関する改善意見書を毎年市長に提出している。1975年には既に意見書の提出を実施した記録が残っており、40年以上の歴史ある取り組みだ。
 改善意見は、農業委員や推進委員が各種会合などの際に地元の農家から受けた意見をもとに、整理・集約している。例年、意見や要望は20~30ほど挙げられ、内容も農地の集積・集約化や鳥獣害対策、新規就農対策など多岐にわたる。最近は国や県に依存しない市単独事業創設の要望が多くなってきている。
 市長に対する意見書の提出は会長と会長職務代理者、地区代表の農業委員計7人で実施している。改正農業委員会法施行の2016年度からは、各関係部署の局長や課長を交えた意見交換会を行っている。市長へ総論を述べるだけにとどまらず、一つ一つの意見を現場の声を交えて届けられることができるようになった。参加する農業委員からも好評を得ており、今後も継続していく方針だ。
 こうした農業委員会の取り組みにより、「高松産ごじまん品6次産業化等支援事業(2017年度~)」や「たかまつ農業ICT導入活用支援事業(2018年度~)」などの市単独事業が新たに措置されている。
 たかまつICT導入活用支援事業は新規就農者がイチゴの品質の向上と収量の増加を目的に活用するなど、農業者の経営発展に寄与している。

意見交換会の様子

 また、同委員会では、農業改良普及センターや県農業会議と連携し、認定新規就農者・認定農業者らを対象にした経営管理講習会を市内5地区で延べ25回開催している。同講習会では日々の簿記記帳や青色申告に向け、時節に応じた指導・支援を行っている。農業者自らが決算書を分析して経営を改善する取り組みを進めている。
 新規就農者の約3割が5年以内に離農していることが全国的な課題となっているが、県内の新規就農者のうち約1割が同市で就農していることから、経営改善に関する支援も継続して取り組んでいく予定だ。