出し手・受け手のマッチングに力 本州最大キウイフルーツ園地造成へ 三重・玉城町農業委員会

 伊勢平野の南部に位置し、水稲や柿などの果樹栽培が盛んな度会郡玉城町では、1400ヘクタールの農地の約53%が担い手に集積され、30~40代の若手農業者が多数活躍している。担い手への水田の集積が進む中、集積が困難な畑でも大きな成果を上げた。

キウイフルーツの栽培園地とするため農業委員会が集約を行った玉城町原地区の農地(線の内側)        

 玉城町農業委員会(森田和夫会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員15人)は2017年7月に新体制に移行した。優良農地を次世代につなぐため、日々の活動を通じて出し手と受け手のマッチングに取り組むなど担い手への農地集約に尽力している。
 そのような中、今年3月、新たにキウイフルーツの大規模栽培を目指す津市の(株)浅井農園に対し、事務局や農業委員・推進委員が園地の集積と集約に協力し、遊休化の恐れのある約5ヘクタールの農地を含め、7.3ヘクタールを集約した。キウイフルーツの園地としては本州最大だ。
 この取り組みは、昨年8月、キウイフルーツの栽培候補地を探していた同社から県を通じて農地のあっせん依頼があったことがきっかけ。
 依頼を受けた同委員会ではまず、平地で柿などの園地がまとまっている原地区を候補地とし、事務局長の西野公啓さんや地区担当の農業委員・推進委員が実際に現地の耕作状況を確認。日頃の活動で得た情報も参考に農地ごとに地権者や面積、耕作状況をリスト化、作物ごとに色分けした地図を作製した。
 作製したリストや地図をもとに、地権者を対象にした説明会を2回開いた。農業委員や推進委員の他、同社も参加して大規模栽培の計画や農地の貸借料・期間、農地中間管理機構の活用などを説明した。結果、地権者52人のうち40人以上の合意が得られた。

農業委員会事務局長の西野公啓さんが地権者、自治区代表、農業委員と集約対象の農地を現地で確認     

 説明会で合意を得られなかった地権者へは、西野事務局長らが何度も自宅へ足を運び「今後の地域農業を担う若手に力を貸してほしい」とお願いするとともに、要望に応じて代替地を用意するなど説得に努めた結果、全員の合意が得られた。現在、来年2月の栽培開始に向けた園地の造成工事が行われている。
 「地域の実情を詳しく把握して臨んだことで地権者一人一人の不安や疑問に応えられた」という西野事務局長は「遊休農地の発生防止など農家に将来の農地の在り方を考えてもらういい機会になった。若くて意欲のある次世代に農地を託すとともに農業委員会としても全力で支援していきたい」と話している。