明日につなぐ(36) かがわ農業委員会女性の会会長・東かがわ市農業委員会会長 田村 照栄さん

 2007年に香川県東かがわ市の農業委員に就任し、現在5期目を務める田村照栄さん。今期からは、農業委員会の会長を務めている。
 香川県では、2013年10月に農業委員会の女性組織である「かがわ農業委員会女性の会」が発足した。四国の中では最も早い時期だった。田村さんは、同組織の立ち上げに尽力し、現在まで会長を務めている。「国や県の方から咤(しった)激励を受けながら、ようやく組織ができた」と当時を振り返る。その後、四国の他県でも女性組織の立ち上げの動きが加速。「県外の女性組織の会長や委員とも親交が深まり、情報交換ができるようになった。それが私の誇れる財産」と話す。
 農業委員の活動を通じて一番感謝を伝えたいのは、農業委員会の前会長だと言う。自らが会長の立場になり、重責を感じる日々。しかし、県内の農業委員会の会長が集まる会議などでは、「前会長には本当にお世話になった。今度は、私があなたに教える番だ」と親身になって教えてくれる人ばかりだと言う。「前会長の人柄や功績が、今の自分に返ってきている」と感謝する。
 田村さんは、これまで食育活動にも積極的に取り組んできた。子供たちを対象にうどんやみそ作り体験を実施する他、県内の幼稚園・小中学校で自らが生産するパセリを使ったおはぎ作り教室を開催している。「子供たち自身が調理すると、いつも以上によく食べてくれる」と笑顔で語る。
 「女性の強みは、生産者と消費者の両方の目線を併せ持つこと。食品廃棄の問題などは女性の視点が役に立つ。災害も多く、大変な時代だからこそ、男性と力をあわせて農業、農地を未来につなげてほしい」と次世代を担う女性の農業者にエールを送る。