農地利用の最適化推進に向け 意向調査と話し合い運動 宮崎県農業会議、小林市農業委員会

農業委員会総会で発言する下沖委員(円内は下沖委員)                 

 宮崎県農業会議では、農地利用の最適化の推進のため、昨年度から意向調査の実施とその結果を踏まえた地域での話し合い活動を進める運動を展開している。本年度も「みやざき農地利用の最適化運動」として、さらなる活動の強化を図っている。地域での話し合いを通して、農地中間管理事業を活用して集積を進めた農業委員の活動と、話し合い活動を進め委員の資質向上に向けた農業会議の取り組みを紹介する。

 小林市農業委員会(兒玉厚夫会長)で農業委員を務める下沖秀人さんは4月の改選で農地利用最適化推進委員から農業委員となり、農地利用の最適化活動に積極的に取り組んでいる。
 下沖さんが担当している黒沢津地区は畑作物が中心の地域。若い担い手や後継者も数人いることから、早期に集積を進める必要があると考えていた。地区の集積組合の組合長でもあることから、地域で独自に意向調査と話し合いをすることにした。
 調査では集積組合の役員がアンケート用紙を持って1戸ずつ戸別訪問。内容を説明し、農業経営をどうするかなどを記入してもらった。その結果を基に人・農地プランの話し合いと農地中間管理事業の説明会を実施。地権者や耕作者に地道に説明するなどして、2018年度末までに103.7ヘクタールを農地中間管理機構に集積した。
 現在は、新たに平木場・榧ノ木地区の副担当にもなり、同地区の集積組合顧問として主担当の推進委員と協力して農地集積に取り組んでいる。「地域の農業は地域で、自分たちで守っていく」と語る。

研修会で提案中の後藤会長

 宮崎県農業会議(工藤悟会長)では、農業委員・推進委員が話し合い活動に積極的に取り組んでいけるよう、スキルアップ研修会を開催している。
 8月23日開催の宮崎県女性農業委員連絡協議会(後藤ミホ会長)の研修会では、ワークショップ形式で農業・農村を取り巻く身近な課題とその解決のための意見や提案を出し合うグループ討議を行った。
 この研修会には54人の女性農業委員・推進委員が参加。1班5~7人で九つのグループを作り、担い手づくりや農地活用などをテーマに、自分が担当する地域の現状や問題点の解決策を付箋紙に書き、模造紙に貼っていった。ファシリテーター役には県の農政担当の女性職員に各班1人ずつ参画してもらい、話し合いの進め方や手法を学んだ。
 各班からは“担い手の高齢化や後継者不足”“耕作放棄地の増加や鳥獣被害問題”といった課題が出されたが、これらに対する解決策として“家族農業を大事にしつつ大規模経営も推進する”“女性が農業機械のオペレーターとしてがんばる”“基盤整備や遊休農地の情報公開を進める”といった提言が出された。
 今回の話し合いの結果は、女性委員の現場の声として、現在策定が進められている県の長期計画に反映されることになっている。