農委会の日常業務検討し疑問解消 事例の情報を共有 大阪府農業委員会職員協議会

検討会ではさまざまな意見が飛び交う

 大阪府農業委員会職員協議会(会長・野岸嘉和寝屋川市農委事務局長)と大阪府農業会議では2012年より「農地法等業務推進検討会」を開催している。日々の農業委員会業務でぶつかる疑問や課題の検討、法改正に伴う新たな対応事例を共有しあうなど研さんを深めている。

 同検討会ではこれまで「融資証明が下りない場合にどうやって資力を証明させるか」「住宅を更地にして作付けしたら農地と認めるのか」など、明文規定がなく農業委員会ごとの基準で対応していたテーマを取り上げてきた。
 開催は年5回程度で、府内各地区の職員協議会の代表者が検討会に参加。検討会での協議内容は各地区の職員協議会に持ち帰り、情報共有される。開催のきっかけは「地域の自主性および自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第2次地方分権一括法)により、2012年4月から都道府県知事の農地法第3条許可権限が市町村農業委員会に委譲されたこと。
 2009年には農地法改正により農地転用規制・遊休農地対策が強化されたことに加え、大阪型地方分権の推進で農地法第4・5条許可権限も府内43市町村のうち22市町が権限委譲した(2012年当時)ことで、農地関連事務の目あわせをする機会が必要となっていた。

内容は「農業委員会日常業務のQ&A」としてとりまとめる     

 2016年の農業委員会法および農地法改正の際には、農業委員の選任プロセスと農地転用許可事務の流れが大きく変わったが、このときにも「検討会」が活躍した。
 農業委員会法改正への対応では、委員定数や中立委員の考え方のほか、委員の選考委員会を条例で設置するのか、要綱で設置するのかといった細かな部分まで検討した。
 農地法改正への対応としては、府内農地行政の統一性維持の観点から、30アール未満の農地転用についても、農用地区域内農地であることなど一定の基準を満たせば農業会議に意見聴取することとした。
 野岸府職員協議会会長は「農業委員会業務には明文で示されていない部分も多い。優良事例、先行事例を共有し、検討することは意義のあることだ」と話す。
 本年度は改正生産緑地制度への対応や「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」の事例共有を大きなテーマとする予定だ。