農地を活かし担い手を応援する 農地パトロールを展開 愛知・愛西市農業委員会

無断転用や遊休化を未然に防ぐ

 愛知県の愛西市農業委員会(日永熙会長)は、2016年2月に農業委員会事務の遂行に関し、功績が顕著な農業委員会に贈られる「農林水産大臣表彰」を受けた。同委員会は、女性農業委員の活動や遊休農地対策、人・農地プランの取り組みなどを行うとともに、遊休農地や無断転用を未然に防ぐ農地パトロールを展開している。

 2005年4月1日に4町村が合併して設置された農業委員会で、現在の委員数は選挙委員29人、選任委員7人の36人。市内を佐屋、立田、八開、佐織の旧町村単位の4地区に分け、さらに町単位で委員一人一人が担当地区を受け持っている。
 農地パトロールは毎月25日、この4地区を順番に1地区ずつ行う。その地区の委員が集まり地区内を巡回するが、各委員は常日頃から目を光らせて地区内の農地を監視しており、状況を把握した上でパトロールに臨んでいる。
 農地パトロールでは、委員の監視で判明した耕作していない農地や資機材が放置してある農地などを現地確認し、場合によっては事務局から地主へ指導するとともに、パトロール後も注意深く監視していくこととしている。その他、転用許可後の進捗状況や転用申請案件などの現地確認も行う。
 パトロールの実施結果については、翌月20日に開く定例会(総会)で報告され、各地区の現状、パトロールで出された問題点や課題などの情報を共有し、担当地区の監視活動に役立てている。
 町村合併によって全地区で始まった農地パトロール、農業委員の監視活動により、耕作できないほど荒れた耕作放棄地はない。各地区で地域住民と担い手農業者、JAあいち海部、市職員の話し合いにより、農地利用の地区割りがほぼ完了し、農地中間管理事業の活用を含め、2015年3月時点の農地利用集積は16.4%となっている。
 こうした農地対策の他に同委員会では、女性農業委員の4人が中心となって、食農教育にも力を入れている。2015年度から小学校への出前授業として、女性農業委員が出向き、市の特産品であるレンコンの栽培や農地、農業委員の仕事などについての授業を行うもので、農業に関心を持ってもらうことを目的としている。今年度は四つの小学校で食と農の授業を行う予定だ。

写真上=毎月行う農地パトロールで現地を確認する地区担当の農業委員ら

写真下=女性委員による食農教育の出前授業