今ある経営を次の世代に 愛媛・鬼北町農業委員会

プラン策定時にオブザーバーとして参加した川平会長(右上)。プランでは将来の農地利用について話し合われる

 鬼北町農業委員会(川平定計会長)は2017年7月に新体制に移行し、農業委員26人から、農業委員14人と農地利用最適化推進委員12人の体制となった。同町では、近年、町の新規就農を促進する事業を活用して、IターンやUターン就農する若い農家が増えてきているが、基幹的農業従事者のうち約80%が65歳以上と、依然として高齢化が進展している。

 同委員会では、進む高齢化と耕作放棄地の増大に危機感を覚え、2018年に農地の利用意向を把握するため調査を実施。今ある経営を次の世代に引き継いでいくことが大切と考え、75歳以上でおおむね50アール以上の農地所有者と、地域農業の担い手である認定農業者を対象に絞り、348人に調査票を郵送した。返送がなかった所有者などには農業委員や推進委員が戸別訪問して調査票を回収。300人の意向が確認できた。
 調査の結果、34.9ヘクタールの貸し付け意向と107ヘクタールの借り受け希望を把握した。今後、地図に情報を落とし込んでいき、規模拡大志向の担い手に耕作してもらえるようマッチングに取り組んでいく予定だ。

 また、今般の農地中間管理事業の5年後見直しでは、人・農地プランの実質化に向けて地域の話し合いに参画することが求められている。
 同町では、六つの人・農地プランが策定されており、以前から農業委員会はオブザーバーとして関わってきた。これからプランの実質化に向けて地域で話し合いが行われていくが、農家との調整役として話し合いに参加し、耕作放棄地の発生防止や将来の担い手である若手農家の育成などについて協議していくこととしている。
 川平会長は、「農地の出し手と借り手の実態調査をもとにマッチングの実現に取り組んでいるが、中山間地で条件の悪い農地が多い。高齢化も急速に進んでおり、農地の集約は一部の担い手を中心としたものにとどまっているのが現状。厳しい状況ではあるが、農業委員と推進委員が地域の農地の相談役となり、引き続き農地利用の最適化に積極的に取り組んでいく所存だ」と意気込みを語った。