放棄地解消へ 農委会中心にチーム結成 新潟市西区農業委員会

耕作放棄地プロジェクトチームにより調査結果を共有

 新潟市西区農業委員会(本間雄一会長)では関係機関・団体が一体となった「耕作放棄地プロジェクトチーム」を組織して耕作放棄地対策に取り組んでいる。集落組織と連携して多面的機能支払交付金も活用しながら、相続未登記による所有者不明の水田も含め、その解消に取り組んでいる。

 新潟市西区は信濃川および関屋分水路の西に位置し、海岸線に沿ってスイカやダイコンを主力とする砂丘畑とコシヒカリを中心とした水田地帯が広がっている。同地域でも後継者不足により砂丘畑、水田とも耕作放棄地の発生防止と解消対策が課題となっている。
 葉タバコの廃作などによって急速に増えた砂丘畑の耕作放棄地への対策として、2009年度に同委員会が中心となり、JA・農業共済組合・土地改良区・県の出先機関からなる「耕作放棄地プロジェクトチーム」を立ち上げた。
 農地パトロールや普及啓発、農地情報の提供、国・県・市の支援事業などの活動を通じ、企業参入や担い手の規模拡大を支援、砂丘畑の耕作放棄地の解消を進めている。この取り組みが評価され、2014年には耕作放棄地発生防止・解消活動表彰で全国農業会議所会長賞を受賞した。

 近年、水田地帯でも小区画や不整形農地を中心に、高齢化により管理できない農地や相続未登記の所有者不明農地が増え、対策が必要となってきた。同委員会では8月の農地パトロールの重点地域を水田地帯である黒埼地域に指定し、同プロジェクトチームが地図を持ってパトロールした。
 耕作放棄地としてリストアップされた農地は、その地域を担当する農業委員・農地利用最適化推進委員、集落代表2人が出席する会合を開き、情報と認識を共有する。

 そのうえで、集落組織と農業委員会の連名で約1.1ヘクタール22筆分の耕作管理指導文書を所有者に対して送付。期限内に解消されない場合は農家組合などが多面的機能支払交付金も活用しながら、農道や水路、農地の維持管理作業を実施する。所有者には作業の実施報告と再度の指導文書を送付して管理を促し、耕作放棄地の発生を防ぐことにしている。
 同委員会では「水田地帯の耕作放棄地対策は今年から実施したばかりでまだ結果が出ていないが、今後も耕作放棄地プロジェクトチームの活動により発生防止・解消対策に取り組んでいきたい」としている。