中間管理事業活用し集積 元気なシルバーも担い手に 徳島・美波町農業委員会

 美波町は県南東部に位置し、水稲を中心とした経営体が多いが、担い手不足が問題となっている。そのような中、農地中間管理事業を活用し、元気なシルバーを担い手として集積を図っている。

農業委員会の定例会

 「2015年に農地利用意向調査を行ったが、回答率が低く、参考にならなかった。農地中間管理事業を機能させるため、農業委員が受け持つ地区ごとに声掛けし、人を寄せて、町民の声に耳を傾ける必要があった」と語るのは、同町農業委員会会長の瀧本博文さん(81、8期目)。
 瀧本会長は、町のブランド米である「乙姫米」の普及・発展に寄与し、一昨年、天皇(現上皇)陛下に献穀を行った地元の重鎮だ。
 瀧本会長の指導の下、町では、担い手不足による遊休農地の拡大に歯止めをかけるため、西河内地区、赤松中央地区の2地区を重点地域に設定。2015年に集落座談会を開催した。
 その中で、中間管理機構を通して元気なシルバーに集積し、その間に次の世代を育成して、つなげていけると考えた。集積は人・農地プランに位置づけられている担い手15人を中心に、4年間で約37ヘクタール(貸し手82件・担い手20件)を集積した。

 集積を進める中で、圃場未整備農地、また、遠隔農地などの条件不利農地については、飼料用米である稲発酵粗飼料(WCS)を栽培することを推奨。刈り取りは畜産農家でしてもらい、農地の有効利用を図ることとした。結果、WCSの作付面積は2017年から3年で約23ヘクタール。地域の農家が連携し、地域の農地を守る体制を整えた。
 瀧本会長は「美波町の農業就業人口は2018年度で319人。平均年齢71歳と高齢になってきている。農業委員と担い手が連携して地域を支えることが肝要だ。町では有害鳥獣の被害も多く、県農業会議を通じて県知事に政策提案も行ってきた。課題も多いが、担い手を育成するための体制を整備していく準備を進めていきたい」と抱負を語った。