明日につなぐ(41) 福井県農業委員会女性農業委員の会会長 竹内 成子さん

 福井県若狭町の農業委員として4期目を務める竹内成子さんは、同県旧上志比村(現・永平寺町)の出身。職場の同僚だった夫との結婚を機に同町で農業を始めた。主に梅や露地野菜を生産している。
 竹内さんに農業のイロハを教えたのは義父だった。作物の育て方から機械の操作方法まであらゆることを教わったという。「最初は大変なことになったと思ったけど、その経験があっていまの自分がある」と感謝する。
 竹内さんが最初に農業委員になったのは2008年7月。当時は他に女性の委員が1人いた。委員として何をすべきか悩んでいた時期に、彼女から言われた一言を現在でも肝に銘じていると言う。「肩ひじ張ってやらなくていい。自分の経営をしっかりできない人に他人の世話はできない。まずは自分の経営をしっかりやりなさい」。
 竹内さんは、8年ほど前から集落の仲間6人と協力して、耕作放棄地の再生に取り組んでいる。きっかけは、地主が亡くなったために集落の入り口の小規模な田や畑が荒れていく光景を目の当たりにしたこと。トウモロコシや大根、枝豆などを植え付け、集落の子供会の収穫体験や、食育としてジャガイモの植え付けも行っている。「周りからはよく続けられるね、と言われるけど、自分はただ純粋に農業が好きなのだと思う」と笑う。
 現在、同県農業委員会女性委員の会の会長も務め、県農業会議が毎月開催する常設審議委員会には毎回参加。農業委員会の会長たちに女性の積極的な登用を訴えている。
 「委員としてのスタートラインはみんな同じ。女性だからと遠慮することはない。努力できるかどうかに性別は関係ない」と全国の女性にエールを送る。