新生農委 タブレットで農地パトロール効率化 埼玉・寄居町農業委員会

 4月1日に新体制に移行した埼玉県寄居町農業委員会(室岡重雄会長)が7月から実施する農地パトロール(利用状況調査)でタブレット端末を導入した。同町西部に広がる中山間地域での農地パトロールが効率化したほか、農地台帳システムに直結させたことで、管理の手間が大きく改善。効率化の武器を手にした同委員会は、遊休農地の解消に役立てたいと意気込む。
 同町には1521ヘクタール、2万2千筆の農地があり、そのうち遊休農地は39ヘクタール、428筆になっている(2015年度)。遊休農地は、基盤整備があまり進んでいない山間部を中心に広がっている。
 山間部の農地は、紙の図面上では場所の特定が困難で、パトロールに多くの時間と労力を要していた。終了後の農地台帳システムへの入力作業も人海戦術で対応するため、全ての作業が終わるまで数カ月もかかる状況だった。こうした課題を解決し、事業効率をあげるために期待されているのがタブレット端末だ。導入経費は3台合計で月額約3万6千円。システム利用料を含めた5年間のリース契約だ。
 タブレットはA5サイズ。パトロール中は肩からひもをかけて使い、両手を自由にした。画面上には町の農地台帳システムを元に、農地が航空写真で一つ一つ表示される。農地を選択して土地の調査結果と調査日を入力することで農地パトロールが完了する仕組みとなっている。
 パトロール終了後は、事務局のパソコンに接続するだけで調査結果を統合して農地台帳に反映。次のパトロール時には、3台あるタブレットに統合された結果が反映され、調査結果が表示されるため、利用状況の変化が一目で確認できる。
 「土地の特定がしやすくなり、便利だ」と室岡会長(69)。事務局が7月に導入実験をした結果、中山間地域で1日1台当たり300から500筆ほどパトロールができた。8月からは地区代表の農業委員や農地利用最適化推進委員が使用する。順調にいけば、20日間でパトロールを終えられる見込みだ。
 新体制になって、農業委員の認定農業者数は3人から9人に増え、農地利用最適化推進委員は4区域で8人が任命された。4月から会長に初就任した室岡会長は「新体制になって心機一転、耕作放棄地を担い手や企業に渡せるよう積極的な呼び込みをしたい」と意欲を見せる。

写真説明=「タブレットを使うことで遊休農地の場所の特定が容易になる」と室岡会長