新生農委 女性の力を活動の力に 岐阜・山県市農業委員会

 改正農業委員会法の施行で4月1日から新体制に移行した岐阜県山県市農業委員会(平野良次会長)。移行前の農業委員数は20人だったが、新体制移行後は農業委員が14人、新設された農地利用最適化推進委員が12人選任された。
 改選前はゼロだった女性農業委員が3人誕生。最適化推進委員にも女性2人が選ばれ、両委員合わせると5人の女性委員が活動に参画する。市長は女性の登用に積極的で、市の「男女共同参画プラン」も女性の登用を後押しした。
 2003年の合併前には、旧美山町に女性農業委員が1人いたが、合併後の改選で、農業委員数が43人から27人に減ったことで、女性農業委員はゼロになった。地域から女性の推薦が難しい状況が続いていた。
 同市では、女性農業者の活動が活発だ。地域ごとに女性農業クラブが組織され、料理教室の開催や特産品の製造・販売を行ってきた。各クラブが集まる「山県アグリ女性の会」が設置され、各地域の視察や研修会を開くなど女性が活発に活動しており、女性が農業委員になる素地は十分にあった。
 今回、両委員にはベテランの女性農業者だけでなく、若手農業者も加わった。砂田里美さん(41)は農業委員で、操知子さん(31)は最適化推進委員でそれぞれ最年少だ。
 砂田さんは米農家で最近世代交代したばかり。「若い人たちとの架け橋になりたい」と意気込む。操さんは中山間地域で3年前にブドウ栽培で新規就農し、規模を広げながら意欲的に農業に励む。自治会にも積極的に参加しており、自治会から推薦された。
 最適化推進委員になった藤田好江さん(68)は、地域の特産品を提供する目的で設立した「ふれあいバザール生産物直販組合」(1997年設立)の2代目組合長だ。女性農業者が中心となり、現在は130人が参加する。旧美山町の農業者をまとめてきた実績が評価され、藤田さんは同組合から推薦された。
 その活動を市の職員として支え、女性農業者の理解者だった長野美幸さん(70)は、利害関係のない者として農業委員に就任。同じく農業委員の佐野恵津子さん(66)は長く農協の職員を勤め、地域の農家の状況をよく知り、つながりも広いため、農協から推薦された。
 5人が協力して活動を本格化するのはこれからだ。「それぞれの持っているものや背景を生かして活動をしていきたい」と5人は意欲を見せる。

写真説明=両委員に就任した5人。各自が考える農業の問題点を解決したいと決意した(前列左から操さん、藤田さん、後列左から佐野さん、砂田さん、長野さん)