ドローンで農地の現況確認 愛媛・久万高原町農業委員会

たたんでない状態で322×242×84ミリ(L×W×H)

 愛媛県の中央部に位置する久万高原町は、久万町・面河村・美川村・柳谷村の4町村が合併して2004年に誕生した。周辺を標高1000メートル級の山々に囲まれた自然豊かな町で、林業や比較的冷涼な気候を生かしたトマトやピーマン栽培を中心とする農業を基幹産業としている。同町農業委員会(菅重雄会長)では、5年前から農地の現況確認にドローンを活用し、大幅な業務の効率化を図っている。

現地確認時に使用する地図(左)とドローンで撮影した画像

 中山間地で林業も盛んな同町では、斜面に形成された段畑など、見通しの悪い場所にも農地が存在することが多く、農地の利用状況調査や農地転用の現地確認調査には多大な時間と労力を要していた。
 ドローン導入のきっかけとなったのは、2016年に近澤雅彦事務長が農業委員会に異動してきた当時、趣味で始めたドローンが業務で活用できるのではないかと考えたことから。「車道から目視で確認できない農地は徒歩での確認を余儀なくされていた。歩いて回るのは大変だと思った」と近澤事務長は当時を振り返る。
 試験的に自分のドローンを使用してみたところ、1日がかりで確認していた地区を10分程度で確認することができ、大幅な時間と労力の削減につながった。

 その有用性から町の農業戦略課で昨年ドローンを導入。現在は2台体制で農地の現地確認に協力している。同課の清水隆浩主査は、「上空から確認できるため、農地全体がきちんと耕作されているのかなど、農地の様子が分かりやすい」と話す。また、「映像や写真の撮影ができるので、後からその状況を共有することもできる」と導入の効果を強く実感する。

わずか数分で地域一帯の農地の現況が確認できる

 近澤事務長は「ドローンの課題は実働時間の短さ」と話す。使用機はバッテリー1本当たり25~30分の飛行が可能だが、バッテリーの消耗や操縦者の足元に安全に着地させることを考えると、実際には20分程度が限界となる。
 1台当たり3本のバッテリーを備えているが、充電に時間がかかるため、ドローンを使用する前には飛行ルートの確認が欠かせない。「風の強さや太陽の向きを考慮し、現地に到着してから地図を基に飛行ルートを決める」と近澤事務長は話す。
 ドローンによる現地確認を安全に実施するためには、ドローンの操縦者、ドローンから送信される映像と地図の確認、地番地目一覧表との照合、安全確認をする監視者の4人が必要になる。今後、バッテリーの増設や4班単位に分かれて行っている現地調査をより効率的に実施できる体制を検討する予定だ。