列島最前線 次世代につながる農業を 滋賀・近江八幡市 浅小井農園

「持続可能な農業が時代に求められている」と話す松村さん                         

 太陽をたっぷり浴びた濃い味が特長の「朝恋(あさごい)トマト」を生産する、滋賀県近江八幡市の浅小井農園(株)。次世代につながる農業を目指し、使用済みの食用油の再利用をはじめとした環境保全や従業員の労働条件の改善に尽力している。

 軒高4メートルのハウスの中、3メートルまで葉を付けて十分に光合成をした朝恋トマトは「昔の野菜のようなしっかりとした味がする」と評判。フルーツに引けを取らないほど甘い中玉のトマトで、一度食べるとリピーターになる人も多い。
 代表取締役の松村務さん(66)が、7人の従業員とともに80アールのハウスで周年栽培する。松村さんは「持続可能な農業が時代に求められている」と考え、独自にさまざまな活動を進めてきた。
 環境保全の一環として、ハウスの暖房の燃料には飲食店で揚げ物などに使われた食用油を再利用する。廃棄用の油を回収する業者から提供してもらい、専用の暖房機を使う。
 従業員の労働条件の整備にも力を入れる。目指すのは「1日8時間労働の職場」。業務の効率化には、自動でハウスの環境を調整する統合環境制御装置を導入した他、トマトの通路にレールを敷いて、収穫用や高所作業用の台車、防除機の操作の手間を省く工夫を重ねた。
 1年間で労働時間を調整する変形労働時間制を導入し、有給休暇の取得促進など、農業分野で定められる以上の労務管理を実践。こうした努力から従業員の定着率は高く、農作業の技術の蓄積も進んでいる。