都市農業の時代

図書コード R05-08
規格 A5判・125頁
定価(税込) 990 円
発行日 2023/06/30
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危機的な食料自給率
農業を守る方策示す

全国農業新聞に連載された「農あるまちづくり」56回分を収録したコラム集。

都市と農業が併存する「都市農業」は小規模農家によって多様な農業経営が連綿と営まれ、都市住民に農業の価値を伝えるとともに豊かさを提供してきた。

高度経済成長の過程で犠牲を強いられた日本の農業はいま、食料安全保障や気候変動への対応、消費者の意識の変化を受け反転攻勢の時代を迎えた。都市部における食料危機への備えには国策として小規模農家の育成に力を入れ、自治体が農地に積極的な投資を行うことで都市農業を守り充実する時代がやってきたと説く。

著者は明治大学名誉教授・東京都農業会議会長の青山佾氏。

目次

第1部 都市農業の時代がやってきた

01 商工業と農林漁業の調和 日本でこそ成立する概念

02 消費者が食べたいのは素性の知れているもの

03 世界的に進行する都市化 貴重な日本モデルの発信

04 農地をめぐる流れが変わった 宅地増やす時代は終焉

05 オランダの農家を訪ねて 農業の楽しさ豊かさ

06 農産物販売の原点 ファーマーズマーケット

07 成熟社会になり農作物栽培への関心高まる

08 都市農業の展望 市民との協働で開こう

09 〝アマチュア的農〟の広がりが都市農業振興に

10 全国で増えている空き地 どう活用するか

 

第2部 多様な農業経営を支える政策を

11 農業に市場原理をやみくもに導入すべきではない

12 自作農創設維持の重要性 今も変わらず

13 兼業からスタートする新規就農も視野に

14 労働力確保に向け農業政策の多様化を

15 現場の声聞くホールフーズマーケットに学ぶ

16 得意分野を複数もち 都市化の進行を逆手に

17 イギリスの田園都市に学ぶ 都市農業の運動と共通点

18 市場原理だけでは成り立たない日本農業

19 生産緑地のゆくえ―30年期限を乗り越えて

20 プランテーションから教わる多様性

21 相性がいい農業と人工知能(AI)

22 若い農業者が安心して経営できる制度を

 

第3部 都市自治体は農地に積極的な投資を

23 これからは都市の農地に積極的投資を

24 空き地問題の顕在化と今後の都市農業

25 農地の貸し借りに思う―農業の維持発展を考えて

26 都市の野菜生産―食料不足時代の到来は目前に

27 侮れないEUの農業

28 生産緑地の貸借―農業委員会の真価問われる

29 都市計画法の用途地域に農業も

30 農業の発展と女性の活躍

31 農地守るため―農業委員会と農業会議の周知を

 

第4部 画一的でない振興策で可能性を拓く

32 東京の島しょ地域の農業振興―観光客増加がカギ

33 実態に合う多様性を認めた農業観光を

34 新興大企業を中山間地に 発想転換で農業振興を

35 農業振興につながる販路の開拓

36 香りや味強い土耕栽培と今後の水耕栽培

37 「都市と農村の結婚」目指す田園住居地域制度

38 ロンドン五輪と都市農業の意義

39 移転した豊洲市場への期待

40 都市計画における農地の位置づけ

41 新規就農と兼業農家

 

第5部 追い風に乗り反転攻勢への新たな志を

42 戦災復興計画と現代の都市農業

43 生産緑地の減少スピードと相続税

44 64年前の小企業者的農業宣言

45 都市農業に追い風のはずだが・・・農地が減少し住宅需要は増加

46 農業用ハウスに税制等の支援を

47 離島でも元気な八丈島の農業

48 家族農業と農地の継承

49 自給率を高めるためにも新規就農支援の充実を

50 ドイツのクラインガルテンに思う

51 農地を都市計画の中にきちんと位置付ける政策を

52 都市農地の貸借と農業委員会

53 戦後日本の都市農地政策三つの時代

54 都市農地貸借円滑化法の今後の課題

55 居住と営農の調和をはかる地区計画への期待

56 アメリカのニューディール政策の経験と教訓

 

おわりに 危機的な日本の食料自給