遊休農地を40アールを復旧、担い手へ 福岡・みやま市農業委員会

 みやま市農業委員会(德永順子会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員19人)は、2023年5月から、市、県農業振興推進機構(農地中間管理機構)と連携し、同市山川町河原内地区の遊休農地の解消に取り組んだ。約40㌃の農地を復旧し、11月には地元の農事組合法人に貸し付けることができた。

作業前(上)と復旧した優良農地(下)

 この活動は、同地区で長年遊休化していた農地を何とか解消できないかと、農業委員会が機構の地域推進員に相談を持ち掛けたことから始まった。
 相談の中で「遊休農地解消緊急対策事業」の活用を検討。この事業は、機構が遊休農地を借り受け、解消作業の実施後、新たな受け手へ貸し付けるものだ。農振農用地区域内の農地で簡易な整備で解消が可能であり、地域として今後持続的に利用すべきと判断される農地であること、機構に賃料無しで10年以上の中間管理権の設定をし、その翌年度までに貸し付けができる受け手がいること――が条件となる。
 当該の農地は、元は圃場整備された優良農地だった。耕作していた所有者が亡くなった後、相続人は農業を営まず、雑草や低木が生い茂った遊休農地になってしまった。
 山川町の農業委員と推進委員が相続人と話し合い、機構への10年間の無償貸し付けの了承を得ることができた。農地の受け手も探し、地元の農事組合法人「おむすびファーマーズ」が引き受けるよう調整した。
 また、推進委員の1人が機構から遊休農地の解消作業を受託。同地区の両委員も協力し、雑草・低木の除去、耕起・整地を行い9月に耕作可能な農地への復旧が完了した。

ハート型に刈り、地域の人も楽しんだ

 農業委員会では、この活動を市内全1万2224戸に配布する農業委員会だより「農宝みやま」で紹介。定例会でも同事業を積極的に活用していこうと両委員と事務局の全員で確認した。
 遊休農地が解消されたことで地域からも景観が良くなったなどの声が出た。復旧された農地は昨年11月、予定どおりおむすびファーマーズに貸し付けられ、「黄からし菜」が作られている。
 今年3月には黄からし菜の花が満開を迎えた。畦に高見台を設置し、同法人と地元両委員が畑をハート型に刈り取り、地域の人が楽しめるスポットを作り出した。6月には種の収穫を迎える予定だ。
 地域からのねぎらいの言葉がありがたかったという德永会長は「関係機関の協力のおかげで気になっていた遊休農地を解消することができた。6次産業化も進めており、今後は黄からし菜の種で粒マスタードづくりを進めて、市の新たな特産品にしたい」と思いを語る。