町と農業者一体で地域計画策定 北海道・鷹栖町農業委員会
鷹栖町(たかすちょう)農業委員会(吉本憲会長、農業委員14人)は農業者や町などと連携して目標地図の作成を進めた。町内五つの地区全てで2024年3月末までに地域計画を策定している。

鷹栖町は道内屈指の米どころで、野菜の生産も盛んだ。町農業振興公社が生産するトマトジュース「オオカミの桃」は道内外に出荷され知名度が高い。近年はワイン用ブドウの生産も増えている。
同町の23年度の農家戸数は、29法人を含む258戸、1戸当たりの平均経営面積は12.9㌶だが、農業従事者の平均年齢は62歳を超える。
人・農地プランはこれまで複数回、町内5地区で協議しており、その中で農地の次の担い手が一目でわかる地図も作成してきた。参加する農業者を60歳以上とそれ未満の2グループに分けた協議の場を設け、それぞれ同世代で本音の話し合いを進められるようにした。
農家戸数31戸、農地面積545㌶の北成(ほくせい)地区は、転作率54%で町内では最も高く、担い手集積率も86%を超える地区だ。同地区の20年までの協議で、60歳以上の参加者から「若い農業者の力になりたいが何ができるか」との声が上がる一方、60歳未満の参加者から「引退する先輩に畔草刈りや育苗管理をお願いしたい」と要望が出るなど、地区内で協力する雰囲気が醸成されてきた。

農業者の結束が高まる北成地区の地域計画作りでは、23年度に5回の協議の場を持って話し合ってきた。現況地図を示しながらの協議では、農業委員会が主体となって議論を進行。農業委員会では「農地の権利移動には、目標地図の内容に沿った農業委員会のあっせんが不可欠」とし、地域計画の必要性を説いた。
目標地図の素案作りでは、島根県江津市の「人・農地利用ゾーニング」方式を参考にした。耕作している土地の利用の意向を集計し、地区内をブルーゾーン(現在と将来において担い手が守ることが可能な農地)、グレーゾーン(担い手の参入課題を解消すれば、将来守ることが可能な農地)、レッドゾーン(現在・将来ともに担い手が守ることが困難な農地)に区分した図面を作り、地区内で協議を進めた。
地域計画作成を進めた農業委員会事務局長(当時、現・町産業振興課長)の松木健一さん(48)は「農業委員会や市町村だけが進めることではなく、農業者が自分事として考えることが必要」と強調する。
農業者をはじめとした関係各所の協力で北成地区以外でも円滑に話し合いが進み、町内5地区の地域計画の策定につながったという。
北成地区では目標地図に基づく農地貸借が本年度中に始まる見通しだ。