策定後見据え「ブランド化」「若い担い手確保」 福井・永平寺町農業委員会

 永平寺町農業委員会(多田美知子会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員11人)では各集落に働きかけ、町と連携し地域計画の策定を進めてきた。このほど地域計画案がまとまり、中間管理機構、JA、土地改良区など関係機関の意見聴取を行うなど大詰めを迎えている。また、ブランドを活用した地域農業の将来を見据えた活動も積極的に続け、担い手の確保・育成に力を入れる。

地域計画について話し合う参加者

 永平寺町では2023年から地域計画の策定に乗り出した。町内にある54集落の担い手38人に向けてアンケートによる意向調査を実施。農業委員・推進委員による訪問調査も行った。
 調査結果から、地域計画の概要・目的が浸透していないことがわかり、説明と意識作りのため、手始めに各集落の農家組合長を対象にした説明会を計4回開催。JA、県農林総合事務所も同席し、質問に回答するなど地域計画への理解を深めた。
 その後、農業委員・推進委員と農家組合長が中心になって集落ごとの座談会の場を設置し、農地の現状把握を進めた。農家組合長と現場の農業者への丁寧で段階を踏んだ説明が功を奏し、地域計画への理解が広まったという。
 この活動で、農業委員・推進委員は農業者の意向などを取りまとめ、農家組合長と連携して農地番号、耕作者の情報を共有。目標地図に落とし込むことでスムーズに協議を行うことができた。
 同町農業委員会と町は、今後も協議の場を積極的に設けて農家の声をくみ取り、地域計画のブラッシュアップを進めていくこととしている。

東京で開いた永平寺町産「いちほまれ」のPRイベント

 同町は地域計画策定の中で、担い手の不足や高齢化が大きな課題であると再確認した。対策として、若い担い手の確保に向け町産農産物のブランド化に力を入れている。
 18年から生産が始まった県のブランド米「いちほまれ」に着目。東京のセレクトショップで永平寺町産「いちほまれ」のPRイベントを企画・開催するなど、担い手を後押しする姿を見せている。
 また、日本酒にも注目。同町は古くから酒米が栽培されており、酒造りも盛んだ。1806年創業の吉田酒造㈱と酒米を生産する農事組合法人、農林総合事務所、町農業委員会の関係機関が連携して日本酒を主とした農業振興プロジェクトに取り組んでいる。
 町の担当者は「県のブランド米を、町でさらに価値を高めて生産できるようにすることでもうかる農業を実現し、若い人たちの関心を高めることができれば」と農業振興の実現に向け抱負を語る。