地域計画策定へ女性委員も奮闘 滋賀・甲賀市農業委員会
2025年3月末に向け、全国で作られてきた地域計画。各市町村農業委員会は、目標地図素案作成に向け、各地域に入り難しい役割を担ってきた。甲賀市農業委員会(寺田勝典会長)も多くの委員が活躍し、女性委員も奮闘した。

甲賀市は、琵琶湖の南に位置している。農業は耕地面積約4800㌶、平地と中山間地域が混在し、水稲や麦、大豆、野菜、茶などの生産が盛んな地域だ。
同市では24年、地域計画作りを始めた。目標地図は、市農業振興課が作成主体となり農業組合長などの集落役員への周知説明や情報提供が進められた。
市農業委員会は、同課と役割を分担し、農業委員と農地利用最適化推進委員が担当区域で、集落役員とも協力。農地の状況と今後の可能性、特に不耕作農地のゾーニングを実施した。集落の担い手の状況や、高齢の認定農業者の意向情報を確認するなど、地域農業の在り方も見つめなおした。


同市は、全国でも女性農業委員の登用率が高く、農業委員数18人のうち7人と約4割が女性。各女性委員も担当区域で積極的に活動してきた。
同市の大野区域を担当する奥村喜美子農業委員もその一人だ。同委員は地元をはじめ、担当区域の他の集落でも対話やアドバイスを通して目標地図の素案作成を進めた。
地域計画策定の活動を通じて同委員が感じたのは、「高齢農家と規模拡大をめざす若手農家のいる集落では、高齢農家の農作業を若手農家が補完し、育苗ハウスなどは共同利用が望ましい。本人同士だと対話が進まないが、間に私たちが入ることで互いが打ち解けて、寛容な結果が出た」と笑顔で振り返る。
同委員はまた、「複数の担い手がいる集落では、離農者が増えると、条件不利地は休耕になることが心配。本当に10年先を担ってくれる農業者のために、今後も作付け状況の検証と目標地図への反映を続けていかなければ」と気を引き締めた。
同市農業委員会は、「今後も地域計画や目標地図をより良いものにするために、農地の利用関係の調整を実施し、地域のあるべき姿に近づけていく取り組みを行っていく」と将来を見据える。