循環で持続可能な農業の実現へ 岡山・真庭市農業委員会
国が進める「みどりの食料システム戦略」実現に向けて真庭市は、市版の「みどりの食料システムビジョン」を県内トップで策定した。3年が経過し、農業振興の進むべき道「循環で持続可能な真庭の農業」に取り組んでいる中、真庭市農業委員会(矢谷光生会長、72)はビジョンを積極的に推進しており、農業者を育てること、農地を守ることで農業を未来につなごうと活動している。

同市は、県北部に位置し、人口の約10%が農業分野に就業する農業地帯だ。また、市の面積の約8割が森林のため、森林資源を生かすなどの「持続可能なまちづくり」を掲げる。今年1月には、新たなゴミ処理施設「くらしの循環センター」が稼働し、作られた濃縮バイオ液肥を農産物に利用できるようにもなった。
同市農業委員会では、同ビジョンの推進に先導的に取り組んでいる。ビジョン策定の有識者メンバーだった矢谷会長は、イチゴ農家。矢谷会長は、同市の木質バイオマス循環と連携したペレット燃料を使い、ハウス栽培をしている。「ペレット暖房はハウスの空気が良く、蜂も元気だ。地域のものを活かしたエネルギーで農産物を生み出している」と矢谷会長は語る。
また、瀬戸内海産牡蠣(カキ)から出る牡蠣殻で育てた「真庭里海米」は市内約200㌶で栽培され、徐々に拡大。農業委員を17年務める真庭里海米栽培農家の妹尾宗夫さん(75)は、「こうしたSDGsの取り組みで、地域が元気になっている」と話す。
同市ではビジョンに沿って、多様な農業者を育て、農地を守り、農業を未来へつなげようとさまざまな活動を進めている。
特に農業者の育成については、市主催で「スマート農業塾」を開くなど、学びの場も充実している。
農業委員の福島康夫さん(63)は2014年、農地を守るために集落営農組織から法人化に移行し、㈱城北農産あいがもファームを設立。地域内の農地7㌶を集積するなど、担い手として重要な役割を担っている。その福島さんは市主催の勉強会に毎回参加。機械導入を進めており「農作業が効率化され生産性が上がる。学習の機会を設けてもらっているのでありがたい」と語る。
同市農政企画室の藤田浩史室長は、「製材端材や生ゴミなど従来はゴミとして処分されていたものを資源として活かす循環型農業を進めることで、市の農業を持続可能にしていきたい」と語る。