守るべき農地を明確に 長野・坂城町農業委員会
坂城町農業委員会(柳沢賢二会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員1人)は、「非農地判断」を積極的に行うほか、農業経営基盤強化促進法に基づく所有者不明農地制度を活用。町内の農地の有効利用を進めている。

県の東北部に位置する坂城町は、ブドウ、リンゴ、花卉のほか、伝統野菜の「ねずみ大根」など多彩な農産物が生産されている。
同町農業委員会は、さまざまな形で町内の農地の有効利用に取り組んでいる。農地法に基づいた「非農地判断」で守るべき農地を明確にしているのもその一つだ。
毎年8月の農地パトロールで、森林・原野の状態になるなど農地として利用することが物理的に困難な荒廃農地を洗い出している。パトロール後、現地確認して農業委員会の総会で非農地判断を行うが、土地所有者には、丁寧な説明を心がけている。①非農地判断を行ったこと②職権で地目変更登記を行うこと――を知らせ、1カ月ほど問い合わせ期間を設ける。その後、法務局へ地目変更登記を申し出て、結果を関係機関に通知、情報を共有する。
同町の過去5年間(2018年度から22年度)の非農地判断の実績は76.7㌶=表。事務局の鈴木將由農地担当係長は、「23年度から24年度にかけて行われた地域計画(目標地図)の検討作業の中で、今後も非農地判断が必要な農地が多数、確認された」と言う。
同町ではまた、18年に改正した農業経営基盤強化促進法の「所有者不明農地制度」を県内でいち早く活用してきた。
17年に町内で創業したワイナリーは、ワイン用ブドウを栽培する法人。その法人から規模を広げたいと相談があり、農業委員会で農地のあっせんを進めることになった。町内の所有者不明農地40㌃を、農業委員会による探索・公示など手続きを経て中間管理権を設定、同法人に貸し付けた。現在、町内約3㌶でワイン用ブドウを生産し、原料を町内産にこだわったワインの醸造・販売を行っている。
農業委員会では、今後も法人の意向に応じて積極的に農地のあっせんを進めていく方針だ。
柳沢会長は町内の農地の有効利用について、「受け手の見つからない農地を今後どのように活用していくか課題であるが、今後も既存の農地制度を活用して利用促進に取り組んでいきたい」と話す。町は、3月に地域計画(目標地図)を策定したが柳沢会長は、「計画の達成に向けて関係者一丸となって実践していくことが重要。守るべき農地を明確化し、随時、計画の見直しを行っていくことも必要だ」と未来を見据えている。