タブレットで委員活動効率化 島根・松江市農業委員会

松江市農業委員会(三島進会長、77、農業委員19人、農地利用最適化推進委員45人)では、全委員にタブレットを配布。農地利用状況調査などで活用し、業務の効率化・省力化を進めている。

タブレットを使って利用状況調査をする委員

松江市は、県東部に位置する県庁所在地。市の中心を流れる大橋川、宍道湖、中海に沿って広がる沖積平野では稲作が盛んだ。県内最大の消費地であることから、野菜や花卉などの園芸作物も多く、多様な品目が生産されている。
 同市農業委員会は2022年度、業務の効率化・省力化を進めるためタブレットを64台導入した。利用状況調査での活用に向け、準備してきた。
 同市では、市内を18地区に分け担当する農業委員を配置。さらにその18地区を45カ所に細分化し、それぞれ推進委員を割り当てた。
 23年度はこの18地区全てで農業委員・推進委員を対象としたタブレット操作の研修会を開いた。同市農業委員会が独自に作成した操作マニュアルを使い、電源の付け方や文字の入力方法など基本的な操作から開始。各委員が慣れてきた段階で利用状況調査の現地確認アプリの操作など、出席者が実際にタブレットを操作する形で研修した。研修後はタブレットの操作や利便性について理解が広がったという。
 地道な研修会の開催が功を奏し、23年度は18地区のうち14地区でタブレットが活躍。24年度はさらに使用地区が増え、全18地区でタブレットを使った調査が実現した。

市農業委員会が作成した操作マニュアル

利用状況調査の現場では、操作が不慣れな委員には、農業委員会職員がフォローする。全委員が不安なく操作できる体制を整えた。
 従来は、大きな紙の地図を携行してきた。紙の地図は天候や現地の状況で調査結果の記録が大変なこともあったが、タブレットになったことでその労力が軽減。位置情報も使えるため現在地や調査対象の農地が把握しやすくなった。また、画面を拡大できることで、小さな圃場でも特定しやすくなる点も各委員から高い評価を受けている。
 全地区でタブレットを活用した24年度の利用状況調査では、導入前延べ321日必要だった日数が98日に減少。農業委員会職員の作業時間もまた、調査前の準備や農業委員会サポートシステムへの結果の入力作業が簡素化されたことで、2分の1に減ったという。
 県農業会議会長でもある三島会長は「使ってみるととても便利。タブレットを活用することで農地パトロールに関わる作業の効率化ができた」と語る。