タブレットで効率化 福岡・筑後市農業委員会

筑後市農業委員会(近藤茂会長、農業委員16人)は、タブレット端末を積極的に活用する。農業委員会活動を効率化し、農地利用の最適化をさらに進めるためだ。

タブレットを使い耕作放棄地を確認する溝口弘之委員

筑後市は、県南部の筑後平野の中央に位置する。市南部には矢部川が流れ、肥沃な土地と恵まれた水を利用し、米、麦、大豆をはじめ、梨やブドウなどの果樹、イチゴ、ナスなどの施設野菜を生産する農業が盛んな地域だ。
 同市農業委員会では、タブレット端末を活用することで、農業委員の日々の活動の効率化を進めている。2022年度に農業委員16人全員分のタブレット端末を導入、23年度の農地利用状況調査から活用を始めた。各委員が管理しており、農地の見回り活動や業務の記録など、日常の委員会活動にも役立てている。
 委員からは「現地の特定がしやすい」「農地、特に畑地の境界線がわかりやすい」「確認した状況などをその場で記録できる」などの声があがる。一方で、セットアップ時や日常のアップデートには戸惑う委員もおり、その際は事務局でサポートする体制だ。
 利用状況調査後の説明にもタブレットは活躍する。24年度から調査後、遊休農地となっている農地のうち圃場整備を行っている農地の所有者に対し、書面だけではなく地区担当の委員と事務局が直接訪問することにした。その際、タブレット端末で周辺農地の確認や解説をする。直接会って画面を見せながら説明することで、適正管理への理解を得られることも増えた。
 タブレット端末を全員分導入することにより、農業委員会サポートシステムの農地データを更新しておけば、各委員はそれぞれ最新の情報を確認でき、事務局は地図を紙で作成する必要がなくなった。また、現地調査の際は行程表を端末に送っておくことで事前に担当地区の農地を確認でき、スムーズに調査できるようになった。

地域計画の話し合いでもタブレットが活躍

同市の地域計画では、小学校区ごとに11地区で検討。農用地がほとんど無く市街化の進む1地区を除き10地区で計画を策定。今年3月に公表した。
 計画策定に向けた地域の話し合いの場においても、各委員はタブレット端末を活用した。参加者に最新の農地情報を見せたり、画面上で農地の確認などを行ったことで、話し合いが円滑に進んだという。
 事務局の中村敏和課長補佐は「タブレット端末の導入で作業の効率化は図られたが、農地利用の最適化には地道な活動も重要で、それが近道になったりする」と話す。地域計画についても「10年後、その先の担い手の育成と確保が課題で、地域の子どもたちに農業の魅力を伝えていくことも必要」と思いを語る。