委員を「家族」に位置付け絆を深め活動に全力を注ぐ 群馬・渋川市農業委員会

渋川市農業委員会(山本彰一郞会長、76)は、農業委員と農地利用最適化推進委員を「農地利用最適化推進家族」と位置づけ、最適化活動を積極的に進める。各地区での会議や農業委員会だよりなどで情報提供にも力を入れる。

山本会長

 同市農業委員会では、各委員を「家族」としており、農地利用の最適化を進めるうえで絆を深め、全力で活動している。
 特に遊休農地対策に力を入れる。遊休農地は優良農地に悪影響を与えることから、解消と発生防止を重視。そのため、利用状況調査も各委員の協力・連携で進めており、タブレット端末による「現地確認アプリ」と紙の媒体を併用している。
 山本会長は、遊休農地について「農地所有者が農地を管理するという意識改革が大事」という思いを持つ。調査の方法については「毎年全筆調査を実施しているが、平均すると1人約2千筆が対象となる。調査に精いっぱいで遊休農地解消への活動がなかなかできない。数年に一度の全筆調査実施とすれば、解消への取り組みに集中できる時間が取れるのでは」と持論を述べる。将来的には、衛星写真を活用することで現地調査の負担軽減を模索しているという。
 また、昨年からの米の価格高騰の影響について山本会長は「今年は遊休化した水田が使われるようになった。畑作も農産物が高く売れれば遊休農地が削減できるのではないか。国にその対策も講じてほしい」と語る。

「農地パトロール実施要領」を確認する推進委員
山地に近い遊休農地を確認する推進委員

 同市農業委員会は、意見提出や情報提供活動も活発に行っている。
 昨年10月、農業が魅力ある産業として維持・発展するようにと、市長へ意見書を提出。遊休農地対策については、農地中間管理機構を通じた貸借ができるよう関係機関に働きかけることを求めた。
 推進委員が地元で開く「地区情報会議」は年2回開き、①農地利用の集積・集約化②遊休農地の発生防止・解消③新規参入の支援活動④地域の現状や課題――などについて報告、出席者と話し合う。それらを地区別活動報告書に取りまとめ、農業委員会の農政部会に報告して意見交換などを行っている。
発行する「しぶかわし農業委員会だより」では、農業委員会の活動や担い手の紹介のほか、農地の適正な管理を呼び掛けている。具体的な弊害として、遊休農地が原因で病害虫の発生や雑草の繁茂による火災、不法投棄、景観の悪化などを例にあげ、農地所有者に注意するよう伝えている。