就農きっかけ作りに委員会奮闘 長崎 南島原市農業委員会
南島原市農業委員会(太田香代子会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員30人)は今年6月、就農のきっかけ作りを目的に「南島原市農作業体験交流事業」をスタートさせた。同市で農業を始めたい人に農業体験や交流などの機会を提供する。

南島原市は、県の南部の島原半島に位置し、北に雲仙普賢岳、南に有明海など豊かな自然に囲まれる。温暖で豊かな土壌と水に恵まれ、イチゴやバレイショ、タマネギなど多種多様な農産物が生産されており、農業産出額は県内2位。2023年には県内で初めて『オーガニックビレッジ』を宣言した。
「農業大国」である南島原市においても、農家数の減少や高齢化、後継者不足は大きな課題だ。市は、転入してきた新規就農者に対する家賃補助や就農1年目の物品の購入・リース、農地の取得・貸借、圃場整備などにかかる費用の補助などについて、単独の補助金を設けて支援に取り組んできた。
25年度までに、市内25地域で地域計画を策定し、担い手不足の課題が改めて浮き彫りとなった。太田会長と農業委員会の小渕忍事務局長が中心となり、農業委員会としてできることを模索した。
そこで農業委員会が主体となって実施する市農作業体験交流事業を企画・立案し、市単独予算も確保。今年6月に事業をスタートさせた。

体験交流事業の内容は、収穫だけでなく、土作りや播種、消毒・肥料散布など幅広い。品目も多種多様な農産物が生産されている南島原市の特徴を活かし、多品目を設定することで、年間を通じた体験の場を提供できる。
南島原市農業委員会は、「広報・結婚対策部会」「農業者年金加入推進部会」「女性部会」の三つの部会を設置し活動してきた。この事業のため新たに「農作業体験交流部会」を設立。農業委員・推進委員には農家民泊の経験者も多く、その経験を活かして自らの圃場で参加者を受け入れている。それぞれが生産している栽培品目の農作業を体験指導する形だ。
また、農業者年金の新規加入者が過去18年間で739人にも上る同市では、同制度を支えてきた各委員経験者も部会員となり、体験指導に力を入れている。
太田会長は「地域計画を実現し、地域の農地を守り生かしていくためには、担い手対策が重要。農地利用最適化業務の柱の一つである新規参入促進の取り組みにも力を入れていきたい」と話す。