親子対象に農業ふれあい体験 福島 福島市農業委員会
福島市農業委員会(中村謙一会長・70、農業委員24人、農地利用最適化推進委員36人)では、同市内の親子を対象とした「農業ふれあい体験事業」を実施している。親子で農業体験を通じ、地域農業の振興につなげることをめざしている。

県北部に位置する福島市は、市の北部から北西部が果樹地帯、南部から南西部にかけては吾妻山系から流れる河川を活かした水田地帯だ。地形や気候を生かし、地域ごとにさまざまな作物が栽培されている。
同市農業委員会は2014年から、市内在住の小学生以下の子どもがいる親子を対象に「農業ふれあい体験事業」を始めた。市内を七つに分け、各区域の特徴を活かした農業体験を年度ごとに展開している。子どもたちに、食の大切さや地域農業に愛着を持ってもらうことに加え、親子での参加を通じて食の安心・安全へ理解を深めることが目的だ。
事業は同市農業委員会内に「農業ふれあい体験事業実行委員会」(本年度は柴山栄重委員長・70)を組織し、運営する。女性委員を中心とした実行委員とその年度の開催区域担当の委員がその役割を担う仕組みだ。事前準備の会議では、和やかな雰囲気でありながらも熱中症対策や、参加者が安全でスムーズに作業できるにはどうしたらよいか、など活発に意見が交わされる。
参加者の募集はラインやXなどのSNSのほか本年度は各小学校の連絡用アプリを通じて行った。同事業は人気があり、定員を超える応募だけでなくリピーターも多い。
昨年度からは大学生を中心とした若者も事業に参加している。企画や運営の補助だけでなく、地域農業の理解を深め、将来的な農業従事者につなげることが狙いだ。


本年度は中心市街地の東部に位置する福島区域で開催。「野菜」をテーマに5月・8月・10月に1日ずつ合計3回、野菜の苗の植え付けや収穫作業の体験が中心だ。
体験の場となる畑は、870平方㍍ほど。参加者が分かりやすい場所であることや、車を止めるスペースがあるかなどの配慮をしながら選定された。参加者の体験日に合わせ、事前準備は区域の委員が協力。定植・播種作業や、草刈りなどの手入れを行う。
入念な事前準備を経て、今年5月の開催日には参加者がダイコンやタマネギなどを収穫。また、委員と参加者が協力し、8月の収穫に向けてスイカ、カボチャ、ナスなどを定植した。参加者自らがサツマイモの苗を収穫し、定植もした。
色や形が異なる品種を数種類植え付け、収穫時には参加する子どもたちに驚きや楽しさを味わってもらえるよう工夫がされている。
柴山委員長は「農作業をしていると子どもたちの表情が輝くのが分かり、こちらも元気をもらう」と農業の素晴らしさが伝わっている実感を語る。