タブレット活用し調査業務効率化 山梨 鳴沢村農業委員会
鳴沢村農業委員会(小林博昭会長、農業委員10人)は、農地の利用状況調査や所有者への意向調査の効率化に向け、タブレットの活用を本格化させている。

鳴沢村は県南東部、富士山北麓の緩やかな傾斜地に位置する。農地は標高900~1千㍍に分布し、高冷多雨という気象条件だ。河川がない地勢で高原野菜を主体とした農業が営まれてきた。首都圏に近い地理的利点から、施設園芸や観光農園も行われている。
農業委員会では2023年からタブレットを活用し、業務効率化に取り組んでいる。導入当初は小林会長をはじめ、ICT活用に意欲的な委員の利用状況調査からスタート。操作に不慣れな部分もあったが、事務局による丁寧な指導や県農業会議からの支援もあり、委員からは「リアルタイムで自分の位置が分かって便利」「紙の地図や調査票を使うより効率的」といった声が上がった。
一方で「明るい場所では画面が見づらい」「文字が小さい」といった意見もあり、そうした場合には事務局が個別にタブレットのセットアップをサポートした。
サポートシステムとの連携により、調査結果の取りまとめや入力作業など、事務局の負担軽減や確認作業の効率化、紙が減ることによる経費削減にもつながっている。
この結果、25年度に全委員分のタブレットを導入し、利用状況調査などに活用することにした。併せて電子データでの資料の共有やWebでの会議開催など、さらに業務を効率化させる予定だ。

同村農業委員会はまた、本年度、遊休農地の発生防止や利活用促進のため、タブレットを活用して遊休農地所有者などの意向を直接聞き取ることを企画している。
タブレットの導入で、現地に行かなくても所有者と画面上で農地や周辺状況を確認し、聞き取った内容をその場で記録することができる点が魅力という。併せて意向確認時には、村とJAの連携による各種補助情報(肥料・たい肥・獣害対策の防護柵など)を提供し、遊休農地の活用を促す。
また、貸付希望農地は「農地ナビ」などに情報を公開し周知することで、農地の有効活用をさらに推し進める方針だ。
小林会長は「担い手の確保が一番の課題だ。農業に関する情報を広く発信することによって、鳴沢村農業への関心を高め関わる人を1人でも増やしたい」と力強く語った。