地域の農地集約進め法人経営の効率化へ 鳥取・八頭町農業委員会

 八頭町農業委員会(安部 寬 会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員14人)では、町内にある法人の農地の交換付替えを行うなど農地集約を進める。また、実効性のある地域計画とするため、町民に意見を聞くなどの活動も活発だ。

地域計画実現に向け農地パトロールを重視

 八頭町は、県の南西部に位置する稲作が中心の農業地帯。梨、柿などの果樹も栽培されており、「こおげ花御所柿」は地理的表示(GI)保護制度に登録されるなど全国的に有名だ。
 同町農業委員会は、地域の農地集積に積極的に取り組み、経営の効率化などを進めている。
 町北部の郡家地域ではこれまで二つの大規模法人が耕作。いずれも100㌶を超える耕作面積で、町内の全農地の約3割に当たる広さで経営している。両法人は独自で農地の集積を進めていたが、農地が分散して作業効率が悪いという悩みがあった。法人間で集約を試みたこともあるが、営農方針の違いなどから話し合いが進まなかった。
 同町農業委員会は、両法人の耕作農地の現状を地図化し、地権者を含めた関係者との協議を重ねた。賃借料の統一と、5年計画で273筆52㌶の交換付替えを行う農地集約計画を完成。2法人の耕作範囲も決定したため、その後も計画に従って貸借が進み、法人の作業効率も向上している。

地域計画をより実効性のあるものとするため同町農業委員会も積極的に活動

 同町の地域計画は、町内12地区で策定された。
 町では、策定された地域計画をより実効性のあるものとするため、今後の農地活用についてのアンケートを計画。同町農業委員会も積極的に支援することとしている。
 農業委員会でも地域計画の実現に向けて、日々の農地パトロールを重視。農地の現況把握とともに、耕作者の情報把握にも努めながら、耕作を断念する前に円滑に農地を後継者に引き継ぐことができるよう、一丸となって取り組む方針だ。
 また、相続登記されていない農地や、相続放棄を希望する地権者が増加していることから、昨年度から農業委員会が所有者不明農地の探索に、重点的に取り組んでいる。農業委員などによる耕作希望者の掘り起こしを進める中で、地域計画区域内の農地の所有者不明農地の解消と集積・集約化を推進する。
 農業委員会事務局ではまた、サポートシステムを農地台帳として積極的に活用。2023年度から一元化しており、データの最新化にもいち早く取り組む。システムの機能を独自に改良するなど、作業環境も充実する。
 同町農業委員会の西山千華子事務局長は、「各委員は自身の作業もある中での活動。特に農地パトロールは猛暑の中での調査で負担だと思う。委員の負担軽減やサポートを充実していくため、サポートシステムやタブレットなどの有効活用の方策を模索していきたい」と話す。