組織力で農地利用最適化 沖縄・名護市農業委員会
名護市農業委員会(野原朝行会長、農業委員12人、農地利用最適化推進委員13人)は、担い手確保と遊休農地解消に向け、活動を本格化。主催する「農業相談会」や調査活動を軸に取り組んでいる。

名護市は沖縄本島の北に位置する。人口は約6万5千人で北部地域で最多だ。農業は県内でも生産性が高く、ゴーヤーやシークヮーサーなど8品目が県の拠点産地に認定されている。市内には名所・旧跡も多く、観光地としても人気が高い。
名護市農業委員会では現在、新たな担い手の確保と遊休農地の解消に向け、組織一丸となって取り組んでいる。現場の委員が主体となった月1回の「農業相談会」や地道な調査に裏打ちされた農地情報が、活動の両輪になっている。
「農業を始めたいが、何から手をつければいいのか」――そんな新規就農希望者の声に応えるため、同市農業委員会が本年度から市内4地区で毎月開催しているのが農業相談会だ。「いつでも気軽に相談できる窓口が必要」という委員の提案から実現した。
相談会は、各地区の農業委員・推進委員が現場活動の情報を共有する「農地利用最適化推進会議」と同日に開催。相談会では、営農計画や補助金活用はもちろん、事務局だけでは対応が難しい栽培技術の悩みにも経験豊富な委員が直接助言する。地域農業の「世話役」として、円滑な就農を力強く後押しする場だ。
開始直後にもかかわらず4件の相談が寄せられるなど、新たな担い手確保の入り口として着実に機能し始めている。

きめ細やかな相談対応を支えるのが、農地利用状況調査(農地パトロール)と農地利用意向調査による農地の情報収集活動だ。
同市農業委員会は、窓口や調査などで得た所有者の意向情報を「農地あっせんリスト」として集約。ホームページで公開する。所有者が非公開を望む農地もリスト化し、委員が個別にマッチングすることで農地の出し手・受け手の橋渡し役を担う。
2024年度からは、農地として利用されていない土地の「非農地判断」を強化し、「守るべき農地」との明確化を進める。非農地判断後は、地方税法第381条に基づき、市長が一括して法務局へ地目変更登記を申請する。
一連の取り組みは、現場の声を吸い上げて生まれており、計画的に農地利用の最適化を推進している。同市農業委員会は、「これらの活動を通じて地域計画をより実効性のあるものへと磨き上げ、地域農業の未来図を描く」と意気込みを語った。