農業の理解促進へ作業支援を事業化 埼玉・日高市農業委員会
日高市農業委員会(福井一洋会長、60)では農業者支援や農業の理解促進に向けて、常に何かできないかを考えている。その一つが、農繁期などに農作業を手伝ってもらいたい農業者と農作業を体験しながら農業者をサポートしたい人をつなぐ『援農サポーター事業』だ。

同市農業委員会では、どうすれば新規参入の促進が図られるかを模索していた。また、農業者からは農繁期の労働力不足の悩みをよく聞いていた。
農地利用最適化推進委員の山口順委員(69)は福井会長から、「職業体験の受け入れをしているんだけど、体験した子が農業に興味を持って県農業大学校に入学した」という話を聞き、農作業に触れる機会をつくることが新規就農にも労働力の確保にもつながるのではないかと考えた。
農業委員会総会で提案したところ、事業化に向けて検討委員会が設立。どのような仕組みであれば農業委員会として取り組め、事務局にも負担にならないかを検討した。その結果、手伝ってもらいたい作業内容を経営体から農業委員会に連絡してもらい、農業委員会ホームページで掲載する「援農サポーター事業」ができた。
農業者への事業PRは事務局と農業委員や推進委員が連携して行っている。サポーター希望者からは経営体に直接問い合わせる仕組みだ。自らもサポーターを受け入れている福井会長は、「繁忙期の手伝いだけでなく、効率的な作業工程や作業内容を改めて見直すきっかけにもなり、メリットがある」と話す。

サポーター事業が軌道に乗りはじめた今年8月、日本女子プロサッカーリーグ所属「ちふれASエルフェン埼玉」のアカデミーの選手25人が、同チームの地域貢献活動の一環で、ブルーベリーの収穫作業をサポート。農業委員会が援農事業や市の農業のPRにつながると手を挙げ、実現したものだ。
参加した選手は、「教えてもらいながら一緒に作業を体験してみて、地域や地域の人たちがちょっと身近に感じられるようになった」と感想を述べた。
山口委員は「就農には実際に農作業を体験して、自分に合うのか判断してもらうことが重要。就農までいかなくても市の農業を知ってもらう機会になる。今後は、市外の方や移住希望者にもPRしていく」と話す。
福井会長も「農業委員会の支援が目に見えるものとして展開できれば、その他の活動にもつながるので、積極的に取り組んでいきたい」と話す。