「話し合い」を積極的に実践 山形・飯豊町農業委員会

 飯豊町農業委員会(安部数幸会長)では、地域の話し合いを積極的に行っている。また、同町中津川地域で「地域まるっと中間管理方式」に県内で初めて取り組み、(一社)ふぁーむなかつがわを設立。持続可能な地域づくりをめざす取り組みをスタートさせている。

左から安部会長(ふぁーむなかつがわ理事)、鈴木代表理事、渡部恵介理事

 飯豊町農業委員会は、積極的に地域での話し合いを進める。2019年度に県農業会議が開催したファシリテーター研修会に安部会長自ら参加し、農業ファシリテーターの資格を取得するほど力を入れる。地域計画を策定する際には、町内を8地区に分け、農業者だけでなく農業に携わっていない若者や女性を含む地域の関係者100人以上が策定委員会を設立。取りまとめ役として各地区に農業委員・農地利用最適化推進委員が入り、地域の将来のあり方などについて積極的な議論が交わされた。
また、23年度に町南部の中山間地域の中津川地域でふぁーむなかつがわを設立。同法人は地区の農地の維持と活用、担い手と地区内での持続可能な収益の確保などを目標としている。県内で初めて、地区の農地をまとめ農地中間管理機構に貸し付け、その全ての農地を同法人が借り受ける「地域まるっと中間管理方式」を採用し、活動をスタートさせた。
 同法人は、安部会長が役員を務め、地区内全87戸が加入している「中津川地区むらづくり協議会」から派生した。現在、農地集積・集約や遊休農地の発生防止・解消に取り組むほか、宇津沢カボチャや雪室ジャガイモなど特産品のブランド化と推進、担い手確保のための就農希望者の受け入れ――などを行っている。

就農体験をした須藤和朗さん、丁海云さん夫妻(中央2人)と鈴木代表理事夫妻

 24年の「新・農業人フェア」では、20人の就農希望者と面接することができ、実際に3人が農業体験に訪れた。なかでも、米沢牛の肥育農家やハウス野菜の農業体験をした丁海云(ていかいうん)さん(千葉県)は、中津川地区の環境と地区内で出会った人たちの人柄に魅力を感じ移住を決意。今後、ふぁーむなかつがわが受け入れ先となり、雇用就農する予定だ。
 同法人代表理事の鈴木泉さんは「将来、農業の魅力を再認識し、作る喜びを感じられる農業をめざすとともに、今までにない最新技術の導入や、農業を通じた観光産業もめざしていきたい」と意気込みを話す。