「農地再生チャレンジ支援事業」で遊休農地を解消 愛媛・松山市農業委員会
松山市農業委員会(寺井克之会長、農業委員24人、農地利用最適化推進委員23人)は、本年度から遊休農地対策として、新規事業「農地再生チャレンジ支援事業」を立ち上げ、遊休農地の解消に取り組んでいる。


松山市では近年、農業従事者の高齢化や後継者不在による農業経営の廃業から、遊休農地の増加が課題だ。以前は近隣に居住する親類縁者などが継承・管理していたが、高齢となり管理が行き届かないことも原因と考えられる。相続で農地を取得した所有者が市外、県外に住んでいるケースも見られ、放置されたままの状況も増えている。
こうしたなか、遊休農地に関する苦情は年々増加しており、指導件数も増加傾向。農業委員会では対策を検討し、既存の事業を見直したところ、小規模な遊休農地を解消する組織や団体向けの補助率が低いことがわかった。
市は本年度、関連部局や管内JAなどと協議を重ね、当事者に代わって遊休農地を解消する団体(支援団体)向けの市単独事業「農地再生チャレンジ支援事業」を創設。同事業は、所有者に負担を求めずに遊休農地を解消し、意欲ある担い手が当該農地を借り受けることが可能だ。事業の流れは、農業委員会や支援団体が担い手と農地のマッチングを行い、事業実施について農地所有者の同意が取得できれば、支援団体による遊休農地の再生作業が行われる。並行して農地中間管理事業による農地の貸し付け(使用貸借に限る)が行われ、支援団体には実績払いとして10㌃当たり上限20万円の補助金が農業委員会から交付される。
交付対象経費は再生作業に係る雑草の刈り払いや立木の伐根、除草剤散布、オペレーター賃金、機械レンタル料などで、畦畔の復旧や苗代、機械購入代などは対象外としている。
本年度は、市内を管轄する2JAのほか、農業者で組織する二つの任意グループが支援団体として事業に取り組み、水田や樹園地の解消が進められている。
寺井会長は「農業委員会に課せられた最重点業務である農地利用の最適化業務(遊休農地の発生防止・解消)に事業を活用し、しっかり取り組んでいきたい」と意欲をみせる。
