農業の楽しさ伝える食農教育 宮城・加美町農業委員会

 加美町(かみまち)農業委員会(板垣文一会長、74)では、1988年から「食農教育推進事業」を実施している。本年度で37回目で町内の保育園と幼稚園、認定こども園の園児が対象だ。この事業は、食と農業のつながりを体験し、農業の楽しさに触れる機会となっている。

定植の方法を丁寧に教える農業委員(加美町農業委員会提供)

 加美町は宮城県の北西部に位置し、2023年4月に中新田町(なかにいだまち)、小野田町(おのだまち)、宮崎町(みやざきちょう)が合併して誕生した農業が盛んな町だ。
 食農教育推進事業は、農作物の定植と収穫体験を通じ、「食」を支える農作物がどのように育つのかを学ぶことを目的に同町農業委員会と加美よつば農業協同組合が共催。
 もともとは旧中新田町で始まり、合併後は小野田地区と宮崎地区の幼稚園・保育園に拡大。2025年度からは、町立・私立を問わず、町内の5園全ての参加となった。
 農作物はサツマイモが題材だ。定植は25年5月下旬、園児と一緒に行った。苗は農業委員でサツマイモ生産者の三浦良人(ながと)さん(47)が消毒処理したものを使った。同町の農業委員と農地利用最適化推進委員が協力し、畝作りやマルチ被覆など、苗を植えるための準備をした。

サツマイモを収穫する子どもたち
作業を補助する委員ら

 収穫までの間、除草作業や見回りなどの圃場管理は、委員が全て自主的に行ったという。
 収穫体験は25年10月30日と11月4日に開かれた。
 町内にクマの出没が多発したことから、3園が辞退し2園だけの参加となったが、両日とも天候に恵まれた。晴れわたる秋空の下、園児たちの元気な声が響き、たくさんのサツマイモを収穫できた。
 当日はクマ対策の一環で、音花火や爆竹を数回に分けて使用したほか、実施時間を短縮、見張り役を立てるなど慎重に収穫体験を実施した。
 参加した園の職員や保護者は「貴重な経験をさせることができた」「園児自身が楽しんで参加していた」と話した。また、町内のクマの出没状況から園外活動が中止になる中で、「農業委員会のおかげで、楽しみにしていた収穫を体験させられてとてもよかった」と感謝の声もあがった。
 収穫体験に参加した農業委員の畠山智史さん(58)は「園児たちが土に触れる機会を設けられるのは良い。大きなイモを掘り当てた子どもたちの笑顔を見ると苦労が報われる」と話す。板垣会長は「本年度から私立の園も参加するようになったことで、地域の子どもたちに等しく食農教育を推進できるようになった。農業委員会として喜ばしい限り」と語った。