委員と事務局 スマホ活用で連帯強化 大分 中津市農業委員会
中津市は2025年7月から、市役所業務のデジタル化(DX)に向けグーグルのクラウドサービスと新型の事務用パソコンを一斉導入した。これを受け、同市農業委員会(坪根弘宜会長)では、単なる事務処理の効率化にとどまらず、農業委員・農地利用最適化推進委員の活動負担を減らしつつ、地域活動の質を高める環境づくりに挑戦している。

改革の第一歩は、同農業委員会事務局内の「情報共有」の見直しだ。これまで農地法など現地での確認が必要となる相談対応は、窓口や電話で相談を受けた職員が現地調査から回答までを一人で完結させていたため、担当者不在時は業務が止まりがちだった。
グーグルのシステム導入後は、職員がスマートフォンからもアクセスできるチャット(対話)アプリを活用。相談を受けた職員が内容や地図情報をチャットに投稿すると、外出中の別の職員がスマホで確認し、ついでに現地を見て報告する、といった「チーム対応」が可能になった。
これにより、相談に対する回答までの時間が「数日」から、早いものでは「数時間」に短縮。現地調査を最短ルートで行うことで、迅速な住民サービスを実現している。
このデジタル化の波は、委員活動の現場にも広がりつつある。現在、多くの委員が利用している通信アプリ「LINE」を事務局との連絡手段として活用。事務局から相談案件の地図や資料をデータで送ることで、委員はわざわざ市役所に出向くことなく内容を確認できるようになった。
「データ通信だけで相談対応が完了するケースも増えている」と同委員会事務局は話す。相談への対応時間が減らせることで、日々の現場確認や農業者との対話といった「人」にしかできない活動を拡充していくこともデジタル化を進めていくうえでの狙いだ。
一斉通知や委員同士の情報交換も活発になり、組織の横のつながりも強化されつつある。
同市農業委員会でめざしているのはデジタルとアナログの融合だ。事務局では現在、膨大な資料から必要な情報を探し出す検索システムや許可書作成プログラムを、生成AI(人工知能)を使って職員自らが開発・構築している。難解な法令通知の検索にもAIを活用し、検索時間の大幅な短縮に成功。こうした事務局内の業務効率化は、結果として委員へのサポート強化につながっている。「情報の受け渡しなどの『手間』はデジタルで極力減らし、委員が農地のパトロールや担い手への集積といった『農地利用最適化活動』に注力できる環境を整えていきたい」と事務局は考えている。
今後、効率化により生み出された時間を委員・職員が共有し活かすことで、最適化活動による地域計画の実現、地域農業の発展により一層努めていく方針だ。
