農地保全活動に尽力 都市農地貸借円滑化法など活用 東京 清瀬市農業委員会
市内農地の9割以上が生産緑地に指定されている東京都清瀬市。相続などによる農地の減少に歯止めをかけようと、清瀬市農業委員会(松村俊夫会長、農業委員14人)では、都市農地貸借円滑化法などを活用した農地保全を進めている。

清瀬市は、東京の北西部に位置し、埼玉県所沢市との市境に流れる柳瀬川流域や市内3カ所に広がる緑地保全地域など、自然豊かな住環境が魅力のまちだ。
全体が市街化区域で、農地約170㌶の9割以上が生産緑地に指定されている。特定生産緑地の指定率も98.9%に上り、農地保全への意識の高さが伺える。
2018年に始まった都市農地貸借円滑化法は、生産緑地や相続税納税猶予制度を受けた市街化区域内農地を貸借することができる制度だ。同市農業委員会では、農地パトロールなどで問題となった農地の所有者や耕作が十分にできないといった不安を抱える農業者に法制度の活用を進めてきた。
同市では、円滑化法の理解促進や申請手続きの支援による貸借の掘り起こしを行うため、「生産緑地バンク制度」を創設=図。農地を貸したい農地所有者や借り受けを希望する者がそれぞれ登録をし、マッチングや貸借の手続きを市がサポートする。その結果、26年1月現在、円滑化法を活用した貸借は市内で19件にのぼり、規模拡大をめざす認定農業者らが借り受けるなど成果が現れている。
同市農業委員会では、毎月の総会の後に連絡会議を行い、事務局職員や農業委員が情報共有や意見交換を活発に行う場となっている。相続により農地が減少し、販売農家としての担い手の減少も危惧される中、市では農業委員からの意見や要望をもとに、各種事業を整備してきた。
その一つとして市が打ちだしたのが、貸借した農地の土壌改良に係る費用の一部を補助する「都市農地貸借促進事業」。農薬飛散防止ネットや老木化した果樹などの伐採、抜根などの障害物の除去などにより、条件の整わない農地でも借り受けた者が迅速に効果的な耕作が行えるよう支援する。
さらに、貸借の選択肢を広げるため、市民農園などの体験型農園の開設費用を補助する「市民農園開設支援事業補助金」を整備。本補助金を活用し、市民農園が2園開設した。
同市農業委員会事務局長の遠田真史さんは「地元に精通した農業委員の熱心な働きかけにより、法制度や補助事業の周知と活用が進んでいる。市内の農地保全には、情報の架け橋となり、行政とのつなぎ役にもなる農業委員の存在が欠かせない」と話す。
松村会長は「市内の農地保全が農業委員会活動の使命。行政との連携や地道な情報活動が成果につながっていくと信じて活動している」と語った。
