話し合い工夫し地域の声共有 農地集積や地域ブランド創出を推進 富山 氷見市農業委員会
氷見市農業委員会(田中昭一会長)では、地域計画策定を通じ課題を洗い出した。農業委員会などが住民の参加を促し、一目で課題がわかるよう工夫した話し合いを開くなど地域活性化を進める。

氷見市は富山湾に面した平坦な地域と山間部の豊かな自然が特徴だ。稲作やハトムギなどが盛んで、氷見牛や氷見稲積梅など地域ブランド農産物も積極的に推進する。
2023~24年度にかけての地域計画の策定では、農業委員会とJAが連携し意向確認や現況地図の作成を進めた。土地改良区など関係機関も説明会に参加するなど、一丸となって推進した。
同市余川地区は、地区の農業委員の働きかけで集約化が進展した地区だ。現在、2件の集約化が進められている。もともと稲作が盛んだが地区に集落営農組織がなく、複数の担い手が個々に耕作し農地が分散。農業委員が話し合いで意見をまとめ、参加者が集約への必要性を共有、農地交換などの動きが加速した。
同市の中山間地に位置する宇波地区の話し合いでは、画期的な手法が取り入れられた。絵や色を用いる手法「グラフィックファシリテーション」で、富山市にある会議進行や企画の立案・補助などを行う㈱たがやす(鈴木耕平代表)が話し合いの進行を請け負って実現。同手法は会議の場で出た意見を話し手の意図、感情、熱量をホワイトボード上に文字と絵にしながら進めていくもので、その場の雰囲気も共有される。目先の結論にとどまらず納得感に根ざした合意形成をめざすことができるという。
同地区は農業者の高齢化や後継者不足が進行し、農業インフラの整備や鳥獣害などの課題も多かったことから話し合いが一時期停滞していたこともあったが、同手法で話し合いが活性化。住民同士が課題解決への議論の前に、実態や思いを共有できた。
宇波地区の話し合いは順調に進み、伝統的に栽培される特産品「灘浦みかん」を地域ブランドとして推すことになった。同地区灘浦は県内唯一の北陸でも珍しいみかん産地。小粒で甘酸っぱいのが特徴で、「灘浦かんきつ研究会」(松野孝之会長)に所属の25軒の農家が年間約8㌧生産する。
ブランド化へ地域おこし協力隊員を中心に収穫体験や直売所への出荷などを進める。担当地区の農業委員も幹線道路沿いの農地をみかんで彩る「みかんロード」整備や各家庭にみかんの苗木を植えるよう働きかけるなど、住民が愛着を持つように取り組んでいる。昨年11月に初開催された地区主催「うなみんフェステバル」でも出展し灘浦みかんをPRした。
地域の話し合いに数多く参加した市農業委員会の中川道郎事務局長は「集落活性化や農業経営への熱い思いを感じることができた」と語る。今後も地域農業の活性化に向けて、話し合いを継続し、その実現をめざす。

