農地を活かし担い手を応援する 農家に青色申告普及 愛媛・大洲市農業委員会
適正な税務申告を指導
所得税の確定申告の受け付け開始が間近に迫る中、収入保険制度の導入も決まり、青色申告の重要性が今まで以上に高まっている。大洲市農業委員会(宮浦実会長)は、「喜多大洲農業青色申告会」の事務局を務めており、農業者各自による適正な税の申告ができるように、農業簿記の記帳や決算処理に取り組む農業者を支援している。
大洲市は北を伊予灘、三方を山に囲まれ、中心部を一級河川「肱川(ひじかわ)」が流れている。この肱川の流域にある大洲城を中心に発展した旧城下町で、「伊予の小京都」とも呼ばれる。急峻な中山間地も多いが、水稲や野菜、果樹、畜産など、多様な農業経営が営まれている。
大洲市農業委員会が事務局を務める喜多大洲農業青色申告会は、青色申告の普及や個々の農家の農業経営の発展を目的に1975年に設立された。それ以降、農家自らが青色申告書の作成ができるよう、農業簿記の記帳相談会や研修会を実施し、個々の農家のレベルアップを推進している。同申告会で取り扱った2015年分の所得税確定申告書は、会員分156件、家族分20件の合計176件に上った。
同申告会は、大洲市内の農業青色申告者や将来農業青色申告者になろうとする者を正会員、現在は税理士などが関与して申告しているものの、将来的には自立申告者になろうとする者を準会員として構成されている。2016年度現在、正会員は207人、準会員は5人。世代交代した経営体も多数あり、同地区における青色申告は着実に根付いている。
簿記記帳相談会では、パソコンによる複式簿記の入力方法や償却資産の計算など、日々の記帳作業の中で疑問に思ったことの相談にのり、適正な決算処理がされるよう指導している。
また、これまで申告書取りまとめ会は、農協の臨時税理士とタッグを組んで、会員が作成してきた帳簿や決算書、試算表などをチェックし、適正な申告書を作成してきた。
しかし、今年度は農協の臨時税理士制度が廃止されたことに伴い、税務指導ができなくなった。一時は規模縮小も検討されたが、四国税理士会大洲支部と契約し、同支部から税理士を派遣してもらうことで、引き続き申告書取りまとめ会を8回行う予定だ。
「今後も、会員各位が簿記記帳や税に関する知識を深め、個々の経営の実態に応じた合理的な納税・節税が図られるよう、また、農業経営の改善などに役立てるよう支援していきたい」と大洲市農業委員会の担当者は話す。
写真説明=青色申告に向けた研修会で説明に聞き入る青色申告会の会員