農地を活かし担い手を応援する 「農業委員会だより」毎月発行 鹿児島・指宿市農業委員会

タイミングよい情報提供が鍵
 指宿市は、鹿児島県本土の南部に位置し、畑かん施設の整備が整い、全国的にもトップレベルの農業地帯だ。同市農業委員会(諏訪園一行会長)は、毎月、「農業委員会だより」を発行。農業者など広く市民に対し、タイムリーに農地情報や農業委員会活動を紹介している。

 指宿市農業委員会は2010年から、A4版両面刷(2ページ)の「農業委員会だより」を毎月発行している。同委員会事務局振興係の小吉建治主幹は「タイムリーに農業者へ情報を発信するには毎月発行することがベストです」と話す。配布方法は、同市185集落の班ごとに回覧している。
 原稿は、振興係が主体となって作成し、毎月25日の定例総会で全農業委員が確認する。印刷は事務局のコピー機で、緑色のA4用紙に印刷し、毎月1日に発行している。
 「原稿の作成には農業者などにわかりやすい表現にすることを常に心がけています。制度の紹介などで難しい表現があるときは、伝え方に頭を悩ませています」と小吉主幹。
 表紙面となる1ページ目には、各月で優先すべき情報や中心となる話題を載せている。また「タイムリーな情報発信を考えると、どの月も掲載すべき話題が必ずある」と言う。6月なら「農業者年金現況届の提出をお忘れなく」、8月なら「農地パトロールを実施します」などをその例に挙げる。
 2ページ目の上段には毎月、「農用地あっせん情報」を載せている。これは農業者のみでなく農地を所有する非農家の人にも制度の周知を図るとともに、具体的にどのような農地のあっせんが行われるかについて、借りたい人、貸したい人、売りたい人に伝えるための情報だ。
 また、熱中症対策や廃ポリなどの適正処理などの身近でタイムリーな情報も載せている。農業就業者の結婚祝金制度や農業用免税軽油手続きなどを掲載した月は、農業者からの問い合わせが多く寄せられており、農業委員会だよりが広く農業者などに読まれていることがわかる。
 小吉主幹は「農業委員会だよりの情報を、担い手への利用集積、遊休農地解消、相続未登記農地の解消につなげていきたい」と意気込む。
 「インターネットや市の広報誌でも情報発信しているが、高齢者も多いわが市にとっては、この農業委員会だよりでの集落内回覧がベストな情報提供手段であり効果的」と力を込める。
 諏訪園会長は「今後も毎月発行の農業委員会だよりが、より地域の農業者に愛読されるよう工夫を重ね、タイムリーで適切な情報提供に努めたい」と話す。

写真説明=農業委員会だよりを手に持つ諏訪園会長(右下)と小吉主幹(左上)ら