人と組織をサポート 新体制の活動を考える 青森県農業会議

 青森県農業会議と弘前市農業委員会の主催で、「青森県農業委員会シンポジウム」が2016年8月に弘前市で開催された。同県と岩手県、秋田県の農業委員会関係者200人が、2016年4月に施行された改正農業委員会法のもとでの活動のあり方を考えた。
 シンポジウムでは高知大学教育研究部の緒方賢一教授が基調講演した。緒方教授は「施行された改正農委会法では、新たに農地利用最適化推進委員が設けられ、『農地利用の最適化』が活動上重要なものと位置づけられた。しかし、何が農地利用の『最適』かは明確に示されていない。地域によって実際の農地利用はさまざまであり、農地利用の最適化は地域によって異なる」と述べた。
 また「確固たる担い手がいる地域、集落営農を立ち上げる地域、企業参入が必要な地域など、地域によって対応は異なる」と指摘した。
 その上で「5年先、10年先、あるいはもっと遠い将来を見据え、地域農業や地域そのものの維持・発展にどのような農地の利用、土地の利用が『最適』かを徹底的に検討し、見極める。そして、それぞれの地域で考え、地域にとって『最適』な農業委員会をつくることが最優先」との認識を示した。
 事例報告では、新制度へ移行した弘前市農業委員会(推進委員を委嘱した事例)、鶴田町農業委員会(推進委員を委嘱しない事例)が報告を行った。農業委員、推進委員の定数の根拠、募集のためのPR活動などについて、当時を振り返りながら説明した。
 そのほか、全国農業会議所の伊藤嘉朗事務局長代理が「農業委員会制度を取り巻く情勢」について報告した。
 農業委員会法の改正に伴い、現在、青森県内では10委員会が新制度に移行し、農地利用の最適化の推進に努めている。

写真説明=「皆さんが話し合って『最適』を進めてほしい」という緒方教授