農地を活かし担い手を応援する 食育・環境保全活動を実践 沖縄・本部町農業委員会
沖縄県の本部町農業委員会(知念一義会長)は、同町青年農業者の会と連携し、子どもへの食農教育などを通して遊休農地解消に取り組むなど、多彩な活動で、子どもたちへの農業教育に力を注いでいる。
沖縄県北部に位置する本部町は、農地面積655ヘクタール、アセロラ、シークワァーサー、タンカン、輪ギクやもとぶ牛など、地域特性を活かした農業振興に取り組んでいる。
同町は農地の約半分が山林原野に囲まれた中山間地。農地の確保や集積が難しい状況に置かれるが、2013年度から2015年度の3年間で8・3ヘクタールの遊休農地を解消した。
本部町農業委員会は、同町青年農業者の会(上原幸浩会長)と連携し、町内の保育園児や子供会を対象に食農教育や環境保全活動を通して、遊休農地解消を図っている。
遊休農地解消に加え、2014年度からは、将来の本部町を担う子どもたちを対象として、農業を体験する場を設け、食への感謝の心を育む取り組みとして、「保育園農業体験作業」を行っている。
遊休化した農地を、農業委員が重機やトラクターなどを用いて、耕作できるように再整備を実施し、農業委員会総出で畦上げ、防草シート張りをして定植準備にあたる。保育園児と共に、タマネギやトマトなどの野菜の植え付けから収穫までの体験を実施する。収穫後はその野菜を使ったカレー作りなどの料理体験も行っている。
また、「遊休農地を花いっぱい・環境保全活動地域連携プロジェクト」にも取り組んでいる。遊休農地を活用し、地域の保育園児や子供会の子どもたちと、ひまわりの種まきを行い、花いっぱいのまち作りを進めている。ベチパーやレモングラスの植え付けも行っており、赤土の流出防止など、環境保全活動にも一役買っている。
同プロジェクトの活動に加え、グッジョブ職場体験など、地域連携プロジェクトに積極的に参加している農業委員の渡久地真吾(とぐち・しんご、30)さんは、「子どもたちが土に触れ、植えた種から野菜や花が咲く喜びや達成感を知ってもらうことで、農業の楽しさを伝えたい」と活動の意義を語った。
写真説明=町を担う人材を育てようと取り組んでいる保育園児を対象にした農業体験活動