農地を活かし担い手を応援する 耕作放棄地解消へ 岐阜 笠松町農業委員会


地権者39戸と法人を仲介
岐阜県の南部、木曽川沿いに位置する笠松町。耕地面積は約200ヘクタールと少なく、町の大半を市街地が占める。笠松町農業委員会(岩田壽会長)では、耕地面積の減少を抑えるべく、地権者と法人との橋渡しを行い、耕作放棄地の解消に取り組んでいる。2016年度には、岐阜県農業会議が実施する農業委員会活動優良表彰の「農地保全部門」を受賞した。
笠松町農業委員会は、長年の懸案であった河川敷の遊休農地の一部約4.4ヘクタールを、39戸の地権者との仲介を行い、農業法人へ貸し付けることで解消した。
同町は、岐阜市に隣接し、主業農家7戸という都市近郊の典型的な兼業地域だ。農業は稲作を主体とした水田農業を中心に、ネギなどの露地野菜の栽培が行われている。
同町東南端を流れる木曽川河川敷には、約12ヘクタールの農地が存在していたが、長年にわたる後継者不足などで遊休化が進み、数メートルを超える竹や雑木が群生し、農地への復旧は困難と思われていた。
この河川敷の遊休農地を、数年前から岐阜市で野菜の生産から加工・販売まで大規模に事業を展開する農業法人が、規模拡大を目指して会社に近く、まとまった面積であることから、地元の地権者との交渉を進めてきた。
しかし、一部の地権者の同意が得られないことから、法人側から同委員会へ相談が持ちかけられた。
町では遊休農地の再生が期待できることから、積極的に協力することになり、岩田会長をはじめ、地元農業委員、農業委員会事務局職員と、法人の担当者で地権者への説明や反対者への説得に奔走した。
その結果、2014年4月に地権者全員の同意を取り付け、同年5月には農地の賃貸借契約の締結にこぎつけた。
農地再生に当たっては、竹・雑木などの除去や農地整備に係る経費を、県農業再生協議会(事務局・県農業会議)が管理する基金「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」を活用した。
現在、グリーンリーフレタスなどを春・夏・秋の三作で栽培し、法人の主力商品であるカット野菜の材料の一つとして使用されている。
岩田会長は「法人からの農地のとりまとめの依頼に応えられて大きな達成感を感じている。今回のことは、法人と地権者のメリットはもちろんのこと、河川敷の一帯が雑木林から野菜農場に変貌し、町民の意識が大きく変わったことも大きな収穫だ」と、その成果を語る。
写真上=解消前の堤防から見た農地
写真下=解消後のリーフレタスの作付け状況