農地を活かし 担い手を応援する 農地集積に力注ぐ 長野・箕輪町農業委員会

長野県の箕輪町農業委員会では、農地耕作条件改善事業を活用して、農地の集積活動に取り組んでいる。
箕輪町は、標高約650〜900メートルにかけて農地が広がり、天竜川を挟んで、東側と西側に分かれる。特に東側は山側となり、耕作面積が小さく担い手が育ちにくいことから、農地利用の集積体制の整備に取り組んでいく必要があった。
地域での最初の取り組みは、2016年度に行った農地耕作条件改善事業の用水路全体のリフレッシュ事業(事業費521万7千円、補助金500万円)74・2ヘクタールの水田に利用している水路の環境整備を行うもの。これにより、水路の下流でも水の利便性が改善され、地域の生産性を高めようとする機運が高まり、人・農地プランの話し合いで、担い手を明確化していく取り組みにつながった。
東側地区の認定農業者は、2経営体で、条件不利地もあり、全てを耕作するのは難しい。そこで、人・農地プランの地区懇談会の話し合いで、小規模耕作者の中から地域を守る担い手として2人と、町とJAとで政策的に設立した「農事組合法人みのわ営農」を加えた5経営体に農地の利用集積を行うことになった。
一方、今まで農地を大切にしてきた高齢農業者は、農地管理を大切に考えてくれていることから「あの人なら貸してもいい」という、いわゆる指定貸しになるのが現状だった。そこで、地元の鈴木健二農業委員(56)と地域の北小河内営農組合(丸山全二組合長)は共に、貸す相手を委ねる、いわゆる白紙委任の合意を得るため戸別訪問した。昭和一桁世代で頑張って耕作してきた者もリタイアする時期を迎え、子供も勤めていて耕作できない状況の中で、不作付地にしないためには、農地中間管理機構の集積対象農地として一任する先鞭(せんべん)をつけることが大切と奮闘した。その結果2ヘクタールを白紙委任農地としてまとめることができた=図参照。この2ヘクタールの2割ほどは、不作付地になりそうな農地で、これを機構集積農地の実例として実現できたことが大きな第一歩となったという。
具体的な集積計画は、2017年度から取り組む計画で、耕作状況を地図で確認しながら検討している。
箕輪町では、地域での、農地耕作条件改善事業を導入した場合の課題やその対応策を検討し、今後中間管理機構と連携した農地集積の推進につながるよう期待している。
図=徐々に機構集積計画地へと移行していく