農委活動の道しるべ(49) 日本の農地制度(4) 農地流動化と農地管理 早稲田大学教授 楜澤 能生

 高度経済成長期、農工間の所得格差が広がるなか、その均衡を図るには農業経営の規模拡大を通じ、農業生産性を向上させる必要があった。政府は当初、農地の売買促進による規模拡大志向農家への集積を考えた。だが折からの地価高騰で、規模拡大を望む農家は農地を買っても採算が取れず、政府は賃貸借による規模拡大を実現する政策へとかじを切った。