農地を活かし担い手を応援する 茶園で“画期的換地” 静岡・島田市農業委員会

 静岡県の島田市農業委員会(増田重男会長)は、〜世界で一番、強く美しい茶園に〜するため、農地中間管理事業を活用した茶園の基盤整備に取り組んでいる。これまでに4地区が同事業を活用、5・4ヘクタールの農地が担い手に集積・集約された。2015年には「第7回耕作放棄地発生防止・解消活動表彰」(主催=全国農業会議所、全国農業新聞)で農林水産大臣賞を受賞した。今回は、このうち1地区の取り組みを紹介する。

 島田茶、金谷茶、川根茶と、旧市町ごとにブランド茶をもち、農業生産額の7割を茶が占める県内有数の茶処島田市。茶園の大半が傾斜地にあるため、農家の高齢化とともに茶園の老朽化が進み、耕作放棄地の増加は大きな課題となっていた。
 同市西原地区では、2012年3月に農業委員会の担い手部会が開いた若手農業者と語る会をきっかけに、地域の将来のためには基盤整備と改植が不可欠なことを再確認。8月には若手農業者4人が発起人となって「西原地区基盤整備勉強会」を立ち上げた。市農林課、県農林事務所もこの活動を強力にサポートした。
 効率的で安定的な茶生産ができる基盤が必要との強い思いを地域で共有するため、2013年5月には、地区の農業委員も参加して地権者説明会を開き、アンケートで意向を確認した。基盤整備の話を進めていくと農地を売りたい地権者が出て受け手の負担が増えてしまうため、貸借で集積・集約化していくこととし、翌年3月から11月にかけて、農地中間管理事業の活用を併せて検討した。
 2014年12月に農地中間管理事業の活用を地権者に説明、翌年3月には全員の同意が得られ法手続きが進められた結果、農家数は30戸から11戸へ、団地数は42から11に集約され、1ヘクタールを超える経営も3戸誕生した。経営農地を1団地ごとに集約する「画期的な換地」を実現し、乗用機械で作業効率は飛躍的に向上した。2016年8月には5ヘクタールの農地のうち1・7ヘクタールを農地中間管理機構を通じて再配分し、所有権移転も含め75%を担い手へ集積・集約したことになる。
 「耕作放棄地の解消と有効活用には農業委員の活動が不可欠」と話す同市農地相談員の秋山初次さん。「農業委員会は10月からは新体制になる。これからも農業委員や推進委員とともに農地再生に尽力したい」と力強く語った。

写真説明=西原地区基盤整備勉強会の発起人となった若手農業者