新生農委 推進委員が地域で利用調整 茨城・桜川市農業委員会

 茨城県桜川市農業委員会(稲葉則夫会長)が、農地利用最適化推進委員の活躍で、農地の集積・集約を進めている。推進委員は担い手の意向確認や地域の利用調整に奮闘。農地中間管理機構への貸し付けも促し、一筋縄ではいかない現場の利用調整をリードする。新体制移行から1年がたち、担い手への集積率が倍近くになる地域も現れた。
 旧岩瀬町の上城地区では、昨年度1年間で新たな3人を含めた7人の担い手に農地を集積した。担い手への集積率は25%から47%へと急上昇。担い手間での利用権交換によって、面的集約も実現した。
 この利用調整を手がけたのが推進委員の古山浩史さん(55)だ。酪農を営み、自ら地域の担い手でもある古山さんは、昨年4月の推進委員就任後、地域の担い手を一軒一軒回り、経営の意向を確認した。その上で、担い手や地権者に農地中間管理事業の説明会を開催して、丁寧に地域の合意を作り上げた。説明会の資料や耕作者ごとに色を塗った耕地図は手作りした。
 古山さんは「経営環境は厳しく、イノシシによる獣害もひどい。地域で団結し、担い手が効率よく作業できるようにしないと、農地を農地として守れなくなる」と地域に呼びかけた。
 この思いが農地流動化の原動力となった。古山さんの呼びかけに応え、中間機構に農地を貸し付けた地権者は地域で50人以上。長年、休耕田となっていた国道近くの農地では、約8ヘクタールを集積し、担い手に貸し付けた。農地耕作条件改善事業を使い、近く、麦・大豆畑としてよみがえる。
 古山さんは「農地への思いは人それぞれ。農業委員会事務局や市農林課はもちろん、担い手や区長にも協力してもらえたのが大きかった。自分も担い手で、地域の人間という当事者だからできたのだろう」と話す。
 同市農業委員会は、地域に密着した活動を展開しようと、移行前の農業委員27人から51人(農業委員18人、推進委員33人)に増員した。旧真壁町の田地区と真壁地区では、元銀行員の推進委員・藤田恒男さん(68)が利用調整し、集積・集約を実現した。
 稲葉会長(71)は「農地の受け手がいない中で、古山さんや藤田さんら推進委員が掘り起こしから頑張ってくれた。農地の集積・集約、それに土地改良をさらに進め、後継者に引き継げる農地を残していきたい」と意気込みを話す。

写真説明=自作の耕地図を前に利用調整を検討する推進委員の古山さん